無造作に投げ出された包装紙、開かれたままの箱の数々
そして、アリオスの周囲に置かれた皆さんから送られたプレゼントの数々
1つ開封する度に零れ落ちる言葉
それは悪態だったり、感心だったり
めんどくさそうに動いていた手が、次第に楽しそうに変わってきている
手にとって1つずつ品物を見る度に変わる表情
楽しそうだね
口では文句を言っているけど、喜んでいるでしょう?
プレゼントとして渡された品物の数々
嬉しそうだね
無造作に扱ってる様で、手つきが慎重だもの
アリオスに送られたプレゼント
アリオスの為だけに選ばれた品物だもの
「気に入った?」
品定めでもするみたいに、手に取ったプレゼント
「さぁな」
いつものはぐらかす見たいな口調、気のない返事だけど
いつもは上手く自分の心を隠すけれど、今日は通用しない
今日のアリオスは不思議な位解りやすい
そのプレゼントとっても気に入ったんでしょう?
「アリオスのって感じだよね」
アリオスの持ち物としてとてもしっくり来る、シンプルで居て存在感の有るペーパーナイフ
「はぁ?」
何馬鹿な事言ってるって言う、そんな視線だけれど
でも気に入ってるよね?
ほんの少し嬉しそうだったもの
それにね、アリオスが気に入らないはずが無い
プレゼントはアリオスの為に用意された物だから
「一番気に入ったのはどれ?」

にこにこと嬉しそうな顔をして手元を覗き込む
嬉しそうだな、と言えば
アリオスもね
なんて言葉が返ってくる
彼奴等が置いていったプレゼントの数々に“似合う”だの“ぴったり”だのそれは嬉しそうに紡がれる言葉
―――ったく
その様子が、まさに自分の事の様に嬉しそうで、そして何より贈られた品々が確かに―――認めるのは癪だが―――悪くない
まったく、日頃は訳の解らねぇものを好んでいるっていうのに、いつもなら始末に困る物を寄越す癖に今日に限ってそういう類の物が入っていないのはどういう訳だ?
明日会ったら文句の一つでも言ってやろうと思っていったってのに
―――調子が狂う
ま、嫌な感じはしねぇけどな
始末に困る贈り物よりも、使える物役に立つ物の方が良いってのは当然だ
だから、まぁ、感謝してる
………多分な
「一番気に入ったのはどれ?」
相変わらずの笑顔でアンジェが不意に問いかける
「一番ってな………」
俺は一言も気に入ったなんて言ってはいない
「だってアリオスが気に入るのは当然だもの、だからその中でもどれが一番なのかなって」
“当然”の言葉に言葉を無くす
その訳のわからねぇ根拠は何処から来るんだ?
がっくりと肩を落とす俺の耳に続けて無邪気な言葉が聞こえる
「だってアリオスとっても嬉しそうだったじゃない、それにね………」
優しい声音が滑り込んでくる
まったく、かなわねぇ
確かに俺は、渡されたプレゼントが気に入った
どうやら今回ばかりは分が悪そうだ、だから認めてやるよ
認めるついでに、礼の一つでも言ってみるか?

―――アリオスの為に、アリオスが気に入ってくれて、そしてずっと使ってくれるようにってそう思って用意された贈り物だもの、アリオスが気に入らない筈が無いわ
自信を持って宣言された言葉
告げられた言葉に諸手を挙げて降参だ
 

 

The next is the last story.
Updating is 21:00.

 
 
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