ああもう仕方ない、負けだよ、負け
こうなったら仕方ねぇ
認めてやるよ
―――11月22日
今日っていう日の意味を―――

大嫌いな日
遠い昔の感情
この日に対する嫌悪感
とてもじゃないが、めでたいなんて思える筈がなかった

どうでも良い日
昔の感情
何もかもが凍り付いて感情が上手く動かなかった時間
言葉を告げる者は居たが、言う方も言われる方も祝いの気持ちなんか持っていなかった

長い間そうやって生きてきた
そして―――

祝いの意味を教えられた
祝われる自分ではなく、祝いをする相手の為の日
言葉を告げる相手が幸せを噛みしめる日
それから、パーティーの意義
正しいその姿
暖かな空間と感情
賑やかなその時と
やはり祝われる自分よりも楽しげで嬉しげな姿
とまどいは感じていたが、何故か心地よかった
それから“おめでとう”という言葉
真実の言葉は柔らかく暖かかった
たった一言に込められた無数の感情
おめでとうの言葉は、生きてきた事に対してでは無く
これから先の生を願い、幸福を祈って
真っ直ぐな感情は呆れるほどストレートに思いを伝えてきた
―――そして祝われることの喜び
祝福の言葉と祈り
告げられた言葉と“おめでとう”の一言だけだが
幻聴の様に聞こえた言葉
―――生まれてきてくれて有り難う
―――共に居てくれて有り難う
―――これから先の人生、貴方が幸せで有るように
―――ずっと一緒に居れるように

この日に対して教えられた新しい意味の数々
くすぐったいほどに柔らかく穏やかな想い
おかげでこの日は意味の無い日では無くなり
嫌悪を抱く日では無くなり

「きっと今日は色んな人がお祝いしてくれると思うわ」
ああ、悪い気はしないな
「だから………」
告げられた言葉に驚いて、そして自分でも不思議な程嬉しかった

だから仕方ない
これから先もずっと同じ様な気持ちになれるというならば
それはなら“今日”を特別な日だと覚えておこう
そして毎年楽しみにしよう
11月22日、誕生日を―――
 

そして仄明るい月明かりの中で
「後でまた改めてお祝いをしようね」
眠りの前の約束の言葉
心浮き立つ様な幸せな日の始まり

 

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