どうしようかな
その時を前に思い悩む
何が良いかな
その時を前にして考える
悩んで考えて
思いついたのは彼の近くにあるもの
好きだなんて直接聞いた事は無いけれど
できるなら喜んで貰えればいいなってそう思った

お祝いの言葉とみんなで過ごす賑やかな時間
時間が過ぎて
今はただ二人だけの時間
いつもと変わらない
そんな様子に見せかけて、機嫌の良いアリオスの元にそっと近づく
後ろ手に隠したプレゼントの存在には気が付いているかもしれない
「アリオス」
私を見るアリオスの姿に緊張する
アリオスの顔を見つめて笑顔を浮かべて
―――綺麗に笑えてる?
頭の隅に浮かぶ不安
心臓の音がうるさい
「誕生日おめでとう」
持っていた包みを両手で差し出す
一瞬だけアリオスの表情が嬉しそうに変わる
すぐにいつもの顔で
「ああ」
声はぶっきら棒に
でも両手でそっと私の手からプレゼントを受けとる
変わらないね
相変わらずの様子に自然な笑みが浮かぶ
ガサガサという音を立ててアリオスが包みを開く
「どうかな?」
アリオスの手が酒瓶を持ち上げる
「へぇ?」
少し嬉しそうな顔
「どこのヤツだ?」
アリオスの指がラベルをなぞる
「どこのっていうか、ね」
作った場所
それよりも大事なのはそれがアリオスの為の特注品だって事
「あのね………」
私はゆっくりと説明をする
協力してくれたいろんな人のこと
それがどうやって出来たのか
話が終わるとアリオスが無言でグラスを用意する
数は2つ
「アリオス?」
「試すだろ?」
私の手に渡されたグラスにほんの少しだけ注がれるお酒
どんな味なのか気にはなるけれど
「でも、最初に飲むのはアリオスよ?」
これはアリオスの為のお酒
手渡されたグラスを置いて、アリオスの分のお酒を注ぐ
アリオスが一口のむ様子をじっと見つめる
あ、満足そうな顔
アリオスの表情にどきどきしながら私もグラスに口を付ける
ふわっと強い香りが広がる
唇に触れた液体に私は慌ててグラスを離す
「少し強いかもな」
アリオスが楽しそうに笑った

誕生日
時が経つに連れ書き替えられていく記憶
小さく呟いた“ありがとう”の言葉は皆に聞こえただろうか?
“誕生日”という日のイメージが塗り替えられていく
「悪くは無いな」
眠りについた彼女を見ながら一人呟く
明日は、コレの礼を言おうか?
手の中で琥珀色の液体が揺れた
 

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