「嬉しくない?」
背後からかけられた声に振り返る
「誕生日のお祝いをして貰うこと」
「………アルフォンシア」
「生まれてきた事は、迷惑だった?」
視線が悲しげに揺れる
「いいや、んなことはねぇよ」
幼い子供の姿をしたその頭を思い込めて撫でる
ここでこうやって生きていること。
ここでの生活は悪くない
いや、悪く無いじゃねーな
気に入っている、だ
「ただ、少し慣れないだけだ」
祝われるという行為
純粋にここに俺がいるコトを喜んでくれるヤツが居る
その状況に慣れていないだけ
「その内慣れるだろうさ」
慣らしてくれるんだろ?
そう言葉を続ければ嬉しそうな返事
「ねぇ、それなら皆の所に行こう」
今は人形をしたアルフォンシアの手を引く
「………そうだな」
賑やかな人の声
さっきから俺を呼ぶ複数の声が聞こえる
「皆、待ってるんだよ」
アルフォンシアの言葉と共に、パーティ会場ってヤツの様子が浮かぶ
ちんまりとした部屋と、少し不格好な手作りの料理
暖かな雰囲気に、心がむずがゆく感じる
くいっと、手を強く引かれるのを合図に歩き出す
「あっ、アリオスっ!」
俺達を見つけたらしいガキ共の声がする
「騒がしい奴等が来たな」
アリオスの言葉にアルフォンシアが声を上げて笑う
「何?何か面白いコトがあったの?」
アルフォンシアが手を握ったまま走り出す
「おいっ」
勢いのまま会場に飛び込んだ俺に
「………誕生日おめでとう!」
一拍遅れて声が掛かった

 

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