「嬉しくない?」
背後からかけられた声に振り返る
「こうやって、祝って貰うこと」
「………女王」
「生きていることは、嫌なこと?」
まっすぐな視線が貫くように我を見る
「………いや、今はそれほどでもない」
生きている
そのコトに意味を見出せずにいたコトもある
何故生まれてきたのか
必要ではないものを何故生んだのか
そう世界を呪ったコトもある
だが、今はさほどそうは思わない
いや、思うことが無くなってきている
「だが、祝われる様なことでもないと、そう思う」
祝われるという行為
生きているコトに共にいるコトに感謝をするということだと
告げられた言葉を素直に受け入れることはできない
「………そう」
我の目を見つめたまま女王が吐息の様な声を漏らす
「それでも私達はあなたがここにいてくれて良かったと思うわ」
過去何度となく言われた言葉
素直に受け入れることの出来なかった言葉
「………受け入れられる時が来るやもしれぬ」
遠い未来、その言葉を受け入れるコトの出来る日が来れば良いとそう我も思っている
「そうね」
ふっと女王の顔がほころぶ
「行きましょう」
誰がとも、何処へとも言わない言葉
「それは決定事項か」
我の言葉に笑って女王が手を差し出す
「少しずつ慣れていくんでしょ?」
たおやかな手が手を握る
「さあ、皆待っているわ」
まるで幼子の手を引くかの様なその仕草に、思わず笑みがこぼれる
「仕方在るまい」
我は手を引かれるまま、後に従い歩き出す
たどり着いたのは一つの扉
「さあ、開けて」
導かれるままに扉を開く
「おめでとう、レヴィアス」
足を踏み入れた我に複数の声が掛かった。

 

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