いつもの風景
 

おかしな光景だな
いつもの光景
いつもの風景
毎日の様に行われる報告会という名のお茶会の席
久しぶりに全員が揃ったその席を遠目に見て抱いた感想
距離を置いて改めて目にするその一団の姿はやはり可笑しい
「こいつ等が同じ時代に同じ場所で生活してるって言っても誰も信じないぜ」
幾人かだけなら共通点はあるが
全員が揃った姿には共通点は見出せない
それぞれが着ている衣装がとにかく無茶苦茶だ
私服なら仕方がないとも思うが、これが正装………一種の制服だというのだからおかしいにも程がある
せめて共通点くらい造れば良かったんじゃないか?
今更だが、衣装をデザインした見知らぬ相手へと文句を呟く
「まぁ、向こうよりは随分ましだけどな」
小声で呟きながら椅子を引く
“向こう”の住人の格好は、統一感以前に時代錯誤も甚だしい
あの格好で街を歩けば注目を集めるのはまず間違いないし
―――実際にいらない注目を集めていた
それに比べれば、このおかしな光景もここだけでの事だ
「なにがましなの?」
席に着いたアリオスへ、アンジェリークが不思議そうに問いかける
「たいしたことじゃねぇよ」
聖地にいる間だけの服装
それも、執務時間という限られた時間だけの服装だ
彼等の私服姿は随分まともだし
外界へ出る際の格好はまともなものだ
「………そう?」
疑いの目を向けるアンジェリークへ適当に返事をして、まずはお茶を一杯
それからいつもの賑やかな遣り取りに耳を傾け、参加して、その時間は過ぎていった

幾日か過ぎて同じ時間同じ場所
「異様な光景だな」
外界から直接戻ったアリオスの目に飛び込んできたのはいつもと変わらないはずのお茶会の光景
席についたメンバーは変わらない
彼等の服装もいつもと大して変わりはない
………大してっていうのがこの場合問題だ
同じテーブルに着く事を足が拒否する
「いったいなんの仮装だよ」
結果、アリオスは少し離れた場所から彼等へと声を掛ける
いつもと似たような格好
ただし、それぞれの格好が適当に入れ替わっている
「チョット思いついてサ、やってみたんだけどネ」
引きつった笑いを湛えながら答えたのはレイチェル
その向こうでアンジェリークが楽しげに笑っている
「一言感想をどうぞ?」
「………不気味だな」
「なぜかそうなっちゃったんだヨネ」
お陰でいつもの格好がかなりまともだって事がよく解ったぜ
レイチェルの思いつきに、言葉にはださないがアリオスはこっそり感謝した


 
END
 
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