些細なコトで落ち込んで
軽い気持ちで問いかけた
深い意味なんて無かった質問
ただの問いかけだった

―――ネェ、すごく後悔したコトってある？
返ってきた言葉は肯定
そうだよネ、後悔したことのないヒトなんていないよね
ワタシは納得して、もう一つ問いかける

―――ナラ、やり直したいって思ったコトは？
返ってきたのはやっぱり肯定
うん、後悔したら、やり直したいって思うものだよね
それから、もう一つ質問を重ねる

―――じゃあサ、今もやり直したいって思ってる？
返答は２つ
肯定と否定
お互いが驚いたように見つめ合う
気まずそうな長い沈黙
そして

「後悔もしている、やり直したいと思ったこともある、だが今はそうは思わねぇ」
アリオスが真剣なまなざしで宣言する。
「そう………なんだ」
アンジェリークがアリオスを見つめ、しばらくした後、ゆっくりと頷く
ワタシは、漸く思い至る
本人達以外から耳にした過去の出来事
詳しい話は誰もしないし、ワタシも知らなくてイイって思ってたコト
ワタシは、そっと席を立つ
後悔もやり直したいって気持ちも、ワタシが軽い気持ちで聞いたのとは違ってる
失敗したかもネ
少し離れた場所で、２人の様子を振り返る
何か真剣に話をしてる
………失敗ではないのかもしれないナ
お互いに話したことの無い気持ち
ナニを思っているのか、言わなければ解らないのに、アンジェってば黙っちゃうトコロあるから
ちゃんと、話が出来るのならそれでよかったかもしれないナ
改めて２人に背を向けると、レイチェルは足早にその場を去った

何気ない問いかけ
些細な愚痴を言うためのただの口実
気負いの無い言葉だから零れ落ちた本心
何かのきっかけになるのなら、どうでも良い質問を重ねてみるのも良いと思った