疑問・難問
 


 
「成功作なのか、失敗作なのか、判断が付きかねるんだよネ」
ため息混じりのレイチェルの言葉
「変な味がする訳じゃないから、失敗では無いと思うんだけど」
目の前にあるのは、私達が知らない料理
使われている材料も、向こうの宇宙には存在しないものみたい
「美味しいって味でもナイヨ」
「料理にはいろんな味があるから………」
今まで食べた新しい料理だって全部が全部美味しい訳じゃなかった
「そうなんだけどサ」
料理は誰かの発明品で
味の好みは人それぞれだから
いつでもどんなものでも美味しいって思える訳じゃない
「コレがホントにこの料理の味なのかが問題ダヨ」
「それは………」
そう言われると、確信を持って答えることが出来ない
「作ってもらった料理をテイクアウトしてくれれば良かったんだけどサ」
珍しい料理を見つけた
そう言って、彼等が運んできたのは材料とレシピ
私達の目の前にあるのは、彼等の手料理で………
「微妙な味ダシ」
不味いって事は無いけれど、決して美味しいとは言えない味
「でも、せっかく作ってくれた事に変わりは無いから」
「………ソウダネ」
悪いとは思うけれど、皿の上の料理を食べきる事は出来なくて
「料理名は何だったかな?」
「えっと確か………………」
私達は会話を続けながらそっとフォークを置いた

「ああ、わざわざ不味くするって料理か」
「………え?」
「あまりに美味いってんで、他のヤツから採られないよう、わざわざ不味くするってヤツだろ?」
強く記憶に残っていた料理の名前
もしかしたら知っているかも知れない、知らなかったら笑い話になるかなって、そう思って話題にしたんだけど
「コレほど不味いものだから、労力を割くダケ無駄って思わせる為のワナってコト?」
「他は、この程度のモノが人をもてなすごちそうだと言うのなら大した事が無いって思わせる為の仕掛けだろ」
「ごちそう?」
「同じ席で自分達は、見た目は同じで美味しく料理したものを食うんだろ」
「それって………」
「本人達は実際に美味しいモノを食べてるから、ホントに美味しそうダシ、嬉しそうだってコトカ」
それは、そんなに美味しいのかと思って食べたらあの味だったら、確かに騙されるのかな
「ま、最近じゃ客を驚かすために使われるみたいだがな」
後からちゃんとした料理が出てくる
私達はその言葉を聞きながら思わず顔を見合わせる
あの料理は彼等のいたずら?
でもちゃんとした料理は出てこなかった
「それで、それがどうかしたのか?」
失敗作だったのか、成功作だったのか………
「難しい問題だわ」
「難しい問題ダネ」
ため息を吐く私達を彼が不思議そうに見ていた

 
END
 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送