調 停
 


 
「調停?」
「はい、なんでも境界線について揉めているとか………」
「わざわざその程度のことで軍が動くのか?」
「いえ、今回は少し事情が特殊で………」
たまたま立ち寄った軍施設
何か任務で出払ったのか、通常よりも少ない人数
人数の変動はいつもの事だったが、なんとなく聞いた任務の内容
「軍に片づけられることなのか?」
少しばかり特殊な事情に、アリオスはため息を吐く
「そうですね、どちらかと言えば研究院向けなのかも知れませんが………」
そういった問題じゃねぇ気がするけどな
「………どっちかっていうと、魔導院だと思うけどな」
「どちらにしろ、当事者間では解決出来そうもないということは確かです」
当事者同士の解決以前に、当事者同士でもめ事が起きるってのが問題だぜ
「それで、どこだ?」
告げられた場所へとアリオスは魔導を使い移動した

「妙な光景だな」
双方の代表らしい奴等
その間に立つ軍人
調停を必要とした双方の間には、穏やかな空気が漂っている
「せっぱ詰まってるのは、軍のヤツの方みたいだな」
本人達は自分達で話し合いをする気がちゃんとあるようだしな
風に乗って微かに聞こえてくる2つの“声”はどちらも、相手の意見を聞く意志を示している
「必要なのはこの場合、“通訳”だと思うがな」
争いごとの調停
軍はそのつもりの様だが
彼等が求めたのは、互いの言葉を通訳してくれる相手
聖地への橋渡しを頼むつもりだったといったところか
軍人を間にして相対しているのは、まったく違う2つの種
「っていうか、あいつらの依頼、良く解ったよな」
彼等同士も言葉は通じないが、彼等の言語は人のモノとも違っている
わざと足音を立てゆっくりと近づくアリオスに、3種の人達が次々と振り返る
さざ波の様に広がる声
「皇帝陛下」
「それで、話し合いはどうなってる?」
アリオスの言葉に、安堵の息が広がった

「それでドウだったワケ?」
「本人達で納得のいくように解決したみたいだぜ?」
「あ、ソウ」
「解決したなら、それで良かったと思うけど………」
「平和で良いんじゃないか?」
アリオスの言葉に、2人は曖昧な笑みを浮かべた
 
 
 
 

END
 
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