お茶会
 


 
いつも通りの日常
大きくみればいつもと変わることのない出来事
ただほんの少しだけ変わったこと
そのほんの少しが、大きなダメージを与えるなんてことも
………たまにあること

いつもの時間
いつもの場所
ここ数日は仕事が入っていたため参加していなかった“報告会”という名のお茶会
参加していなかったため、どんな経緯があったのかはわからない
誰も知らせなかったため、回避もできなかった
目の前の現実から目をそらす
信じたくない
というのではなく
純粋に目の前にあるものを見たくない
テーブルに並ぶのは菓子の数々
にぎやかに、楽しげに話を続ける声
できる限りテーブルから体を離す
テーブルの上を見ないように視線をそらし続けた先には、変わり映えのない庭の様子
―――そろそろ話は終わったか?
雑談の合間に交わされる“仕事”の話
雑談の中に紛れている、知っておかなければならないこと
今、必要な話は終わったはずだ
「今日はもういいな?」
問いかけは“お茶会”の終わりではなく“報告会”の終わり
甘い匂いに、気遣わしげに向けられる視線
風に乗って流れる匂いに、返事を待たずに立ち上がる
歩き去る背中にかけられたのは
「おつかれさま」
の声
幾度目かのため息
甘ったるい匂いが背後から追いかけてくる
「………吐きそうだな」
少しでも早くその場から逃れようと、その場から姿を消した

“しつこい位に甘く!”
をテーマに用意したお菓子の数々は、幾つか食べている内にさすがに辛くなってきて
「これ以上は無理かな」
フォークを置けば無言で示される同意の視線
「………アリオスに悪いことしちゃったね」
レイチェルが目の前のケーキから視線を逸らす
「やっぱり、程良く甘いくらいじゃナイと美味しくナイと思うヨ」
小さく呟かれた言葉に、皆曖昧な笑みを浮かべた
 
 

END
 
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