兄弟
 


 
「ちょっと考えちゃっただけなんだけどね」
何気ない話
遠い場所に居る家族の話
話した中身は嘆きなんかじゃなく
ただ、懐かしい
っていうそんな思いは、いつでも抱いていて
何気ないきっかけで、思い出して
もう会うこともない家族
「兄弟って、どうなのかなぁって」
一言に家族って言っても、家族の形は人それぞれ様々
私には兄弟はいない
昔は、友達の話を聞いて
ただ漠然といいなぁって思ったり
もっと昔は、いなくて良かったのかなってそう思ったり
想像することは出来ても、私には解らない存在
「ああ………………」
私の言葉に、何か言おうとして、黙り込む
レイチェルにも兄弟は居ない
ただ兄弟の様に過ごした人達は居るらしいけれど
「アナタもワタシも、兄弟のコトについて語られたら、どうしようもないヨネ」
「別にそのコトで何かを言われた訳じゃないのよ?」
ただ、懐かしそうに話をしていただけ
それを私は少し離れた場所で聞いていただけ
「んー、それはそうなんだろうけどネ」
少し困ったように、笑う
「………レイチェルは―――」
私よりも解っている?
「ワタシも解らないと思うヨ」
躊躇う様に、息を飲み込む
「だって、ワタシにも兄弟はいないカラ、兄弟ミタイにっていっても、ヤッパリ違うからネ」
「それも私には、解らないけど」
「ん、一緒にいると、やっぱり違うんだなぁってカンジ?」
目を合わせて、なんとなく笑う
仕方ないね
仕方ナイヨ
私達にはどうしようもないことだから
私達には解らないことだから
だから、
気にしても
考えても
悩んでも
仕方がない

「でも、やっぱりいいなって思うんだよね」
いつも通りのおしゃべりを続けて
いつもと同じ、別れ際に、こっそりと呟いた言葉
「それは、解らなくもないカナ?」
内緒だけどね
声を出さずにお互いに言い合って分かれた

ふと、思い出したように語られる家族の話
懐かしそうに話す彼等の声が楽しそうだから
立ち止まること無く素通りした
 

END
 
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