ピクニック
 


 
ガラスの向こうに見える青い空
優しく木々を揺らす風
穏やかで暖かな様子に大きく窓を開ける
吹き込む風が肌に触れる
心地よさに目を閉じれば、木の枝に止まった鳥の声が聞こえる
「良いお天気」
暖かくって
爽やかで
ただ居るだけで心地よくなるそんな気候
ゆっくりと開いた目に、誘うように揺れる草原が見える
目の前の光景に重なって見える風景
誘うように、じゃなくって、誘われているんだ
正解だと言うように、風が草の匂いを運んでくる
「気持ちいいなぁ」
風も日差しも、とっても気持ち良い
………こんな日に外に出ないのはもったいないよね
開いた窓はそのままに、足が扉へと向かう
それから少しして、窓の下を楽しそうに歩く姿が見えた

「ピクニックに行かない?」
扉が開くと同時に聞こえた声
今度は何を言い出したんだ?
そんな事を思いながら視線を向ければ、手にはしっかりバスケットを抱えた姿
俺が返事をする迄もなく、もう既に準備は万端だ
「“行かない?”って格好じゃねーな」
椅子から立ち上がりながら、そう言葉を返す
一瞬慌てた様な顔をして
「だって、気持ちよい天気だったんだもの………」
少しばつが悪そうにしながら、一緒に出かけるのを諦める様子は無い
わざとらしくため息を一つ
面倒だっていうポーズを作りながら、扉へと足を進める
「行ってくれる?」
こちらを見上げながら、ほんの少し首を傾げる
不安そうな目が見詰めるが―――
伸ばした手で頭に触れる
柔らかな髪の感触を感じながら、勢いよくかき混ぜる
途端に上がる抗議の声を聞きながら、腕を引くようにして、部屋を出た

柔らかな風が頬を撫でる
風が運ぶ草の匂い
来て良かったな
心地よい日差しに笑みが浮かぶ
膝の上に置かれた髪を撫でながら、アンジェリークは幸せそうに笑った
 
 
 

END
 
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