偶然という名の………
 


 
気まぐれで降り立った惑星
考えることもなく降り立った場所
何か目的があった訳では無い
ただ何となく―――
そうなんとなく、訪れた場所
誰かから報告を受けた訳でも
何かに呼ばれた訳でも無い
ただの偶然
だがそれも、相手に言わせるのなら
―――運命

なんら特別な所の無い田舎町
見るとも無しに辺りを見ながら道を歩く
すれ違う人々の視線が何気なくこちらへと向けられ、驚きに見開かれる
代わり映えのしない反応、良く有る光景
背後の方で何か騒ぎが起こっているが………
呼び止める声は聞こえない
こちらを遠巻きに見つめる視線だけを感じる
呼ばねぇって事は用は無いんだろ
何としてでも耳に入れたい事
どうしても言わなければならない事があるのなら
呼ばれる筈だ
どれだけ歳月が経ったとしても、忘れられることはない筈だ
“軍”に言うよりも手っ取り早いしな
一通り町中を歩き
何気なく、町の外へと足を向けた

詰めていた息が吐き出される
誰からともなく見合わされた顔
「………向かわれたな」
誰かの声に、人々に無言で頷く

強く風が吹く
辺りの音をかき消す程強く風が鳴る
細めた目に精霊の姿が過ぎる
釣られたように向けた視線の先で、精霊が手招く
………………
精霊の背後から感じる強い力
よく知った力
引き寄せられる様に、力の元へと足を踏み出した

数日後、聖地に一人魔導士が増えた
 
 
 

END
 
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