うたかた
 


 
柔らかな日差し
心地よい風
穏やかな空気に眠気が誘われる
――――――っ
ささやかな抵抗は、誘惑に負けた

窓の外から声が聞こえる
遠く聞こえていた声が近くになり
椅子に座っていたまま微睡んでいた目が開く
「――――――」
ぼんやりと開いた目が
呼ばれた名前にパチリと開く
慌てて立ち上がり
窓辺へと足を向ける
窓の外、階下に見える人の姿
彼等の側に置かれた白いテーブルの上にはお茶の準備が整っている
「今、行くわ」
窓から身を乗り出すようにして叫ぶ私。
彼等の口から返ってくる様々な言葉
笑いかけて、窓辺から離れる
扉の外へと向かううちに何故か笑いがこみ上げる
くすくすと笑い声を零しながら扉を開いた

「どうしたの?」
少しぼんやりしていたらしい私を覗き込む顔
私は慌てて首を振って
「何でもないわ」
そう答える
「ソウ?」
疑い深そうな視線で私を見つめる彼女に、少し困って笑みを見せる
―――ため息
「マ、イイケドサ」
軽い調子で肩を竦める姿

ぼんやりと目を開く
うっすらと見えてくる天井
何度か瞬きをしてそっと身を起こす
ソファー?
まだぼんやりとした表情で辺りを見渡す
「………夢」
「なんのだ?」
からかうような声が聞こえる
「変わらない日常の夢」
近づいた手が頭を撫でる
「………そうか」

懐かしい日々を見た
 

END
 
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