交代
 


 
ちりりとした違和感を感じる
果てる事のない永い時間の中で幾度も感じた事のある感覚
微かな違和感
―――この時が来たのか
激しく騒ぐ心を宥める様に長く息を吐く
幾度経験しても慣れない瞬間
明日、伝えなければならない
心が暗く沈み込む
すぐに訪れる訳ではない
けれど確実に訪れる別れ
ちらちらと感じる感覚を誤魔化しながら、身体を丸める
程なく
幻を―――夢を見る
始まりは一代前の人達
そうして次々と現れては消えていく人々
そして最後に現れる人達

「少し疲れちゃった?」
身体をふんわりと撫でる暖かな掌に、閉じていた目をゆっくりと開ける
「マ、疲れたのなら少し休めばいいヨ」
マダマダ先は長いんだからサ
明るく笑いながら告げる声が聞こえる
確かに、まだ先は見えない
「仕方ねぇな」
ぶっきらぼうに声が告げ、私へと手が触れる
「少し代わってやる」
―――それは、無理だ
「あら、大丈夫よ」
言葉にしなかったはずの思いは優しい声に否定される
私達を誰だと思ってるの?
楽しげに笑う声に思わず笑みがこぼれる
いつか、遠い昔に聞いた言葉
懐かしい人達
ただの夢だと解っていても、嬉しさに顔がほころぶ
私の中で彼女たちは特別だから
「後は任せなヨ」
自信たっぷりに微笑む姿
「少しくらい休んでも大丈夫よ?」
心配そうな顔
無言で触れてくる力強い手
―――任せようかな
零れた言葉に三人が笑みを浮かべる
ああ、そうだ
思い出したのは遠い昔の記憶
はるか昔、まだこの宇宙が創生期と言われた頃の―――

不意に目が覚める
ゆっくりと首を振って、アルフォンシアは起きあがる
長い夢を見た
感慨を胸の奥に仕舞い込みいつもと同じ態度を作る
そうだ、話をしなければ
重いため息を吐いて立ち去った後に、きらきらとサクリアが光っていた
 

END
 
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