日課

 



 
ようやく日が差した早朝
まだ薄暗い光の中
剣を手に家を抜け出す
誰かが気づいた様子は無く
もし、気がついたとしても、わざわざ声をかける者は居ない
この地にいる際には続けている毎朝の日課
アリオスは視線を空へと向ける
天気がどうであろうと続けている日課だが
解っているお陰かこの時間にひどい天気になることは無い
今朝の天候は晴天
「機嫌は良いみたいだな」
そろそろ目覚めるだろう相手を思い浮かべ小さく笑みを浮かべる
草を踏んで居た足が土を踏む
踏み固められ
踏み込まれ
むき出しになった大地
広場になったそこに人影は無い
「今日は邪魔モノは居ないみてぇだな」
たまに現れる奴等の顔を思い浮かべる
たまには模擬戦も良いが今日はそんな気分じゃない
人影がないことにわずかに安堵し中央へと足を踏み込んだ


手にした剣を構える
ゆっくりと息を吐き出す
振り下ろし、振り上げ
乗せた“力”とともに空を斬る
いつもと同じように剣を振るい
身体を整える
身体を止め、息を整える
一呼吸置き、地面へと目を向ける
ぶれもなく踏み固められた大地
調子は悪く無い
目に見える結果を目にして口角が上がる
ここ数日使って居なかった割には調子は良い位だ
戯れに力を使い、人形を産み出す
前方に3体
左右に2体
足を開き剣を構える
ゆっくりと人形が動き出す
体重が移動し足を踏み込む
人形達の動きに合わせて空気が流れる
意識するよりも早く身体が動く
身体を捻り腕を振るう
視界の隅で消えて無くなる人形を見ながら
次へと距離を詰める
左から伸びてくる腕を躱し剣を振り抜く
霧散する人形を目に映しながら大きく距離を置く
「たまには、な」
剣を納め、手を広げる
パチリ
と小さな音がし、手の中に魔力が籠もる
軽く振られた腕に従い“力”が人形達へと飛んだ

明るい日差しの中
いつもの鍛錬を終えて帰路につく
歩く先から明るい声が聞こえる
素直に若干速めた足が“家”へと向かう
タイミング良く開く扉
「おかえりなさい」
柔らかくほほえむ笑顔にアリオスは軽く頷いた

 

END
 
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