箱庭

 



「面白いモノが産まれましたよ」
ある日告げられたアルフォンシアの言葉
彼の言葉に従い宇宙を確認して、発見したのは小さな星々
広がっていく宇宙の端っこの方に産まれた新しい銀河
───ようやく産まれたのね
脳裏に浮かんだ言葉
言葉が思い浮かぶと同時に、その意味がわかる
今までの星々は私達とアルフォンシアがサクリアを利用して造り上げた星々
けれど、この星々は宇宙に満ちたサクリアを元にして自然に産まれた生命
だからほら、今までとは違って初めからサクリアの偏りが存在しない
私は引き寄せられる様に新しい生命へと近づいていく
近づく私へと語りかける声
彼等が上げる声
私は彼等へと手を伸ばし
「あなたたちに祝福を」
自然にこぼれ落ちた声
あふれ出たサクリア
流れ出るサクリアが喜びに満ちている
きらきらと輝く光が彼等の周囲を飛び交う
目には見えない力の流れ
「来たようですね」
アルフォンシアの言葉とほぼ同時に感じた慣れた気配
「こいつらか?」
「なるほど、こういう状態になるワケか」
毎日聞いている声
「一緒に来たの?」
気配は同じ方向から
「入り口で一緒になったからネ」
別に他意は無いんだヨ
他意があるなんて、思ってもいない
それがあり得ない事だってちゃんと解っている
笑って続けたレイチェルの言葉にアンジェリークも笑みを浮かべる
アンジェリークの側をアリオスのサクリアが流れていく
星々へと染みこむ様に広がる力の膜
そしてもう一つ
外側から内側へと包み込んで行くサクリア
喜びの声が聞こえる
「この子達はどんな生命を育むんだろうね」
「さぁな」
「新しいコが産まれそうだヨネ」
アンジェリークの言葉にそれぞれがそれぞれの返答をする
そうだね
でも、どんな命を育んだとしても、私達はあなた達を大切に思うわ
同じ時間の流れの中では、星々の様子に目に見える変化は現れない
けれど、しばらくの間、3人でそのままじっと星を見ていた

 

END
 
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