意識



宇宙は
宇宙の意思と密接な関係がある
よって
宇宙の発展は宇宙の意思の成長と関係している
宇宙の意思が得た知識は宇宙へと行き渡り
宇宙で起きた事例は宇宙の意思へと還元される
当たり前のこととして認識されていて
けれど理解はされていない真実

聖獣の宇宙の闇の守護聖
フランシスが貴族出身だと知った時の仲間達の反応は様々だったけれど、目立った反応をしたのは二人
“貴族”という言葉にあからさまに反応したのはジュリアス
何かを考え込んだのはルヴァ
ジュリアスの方はその後交流を図りに向かったけれど、相性は良くなかったようだね
───わたしからしてみれば当然の結果だけどねぇ
やれやれ、と
オリヴィエは一人肩をすくめる
「それであんたは何を考えているのさ?」
滅多に呼ばれる事の無いルヴァからの呼び出し
それは十中八九“貴族”の事に関しているんだろうけれど
「………ええとですね………」
何度目かのオリヴィエの言葉にルヴァはようやく用件を切り出した

「つまり、この時期に“貴族”が存在するのが変だっていいたいわけ?」
「ええ、人が集団で生活する限り立場の差は生まれて当然ですが、“貴族”という概念が登場するにはいささか早いと思うんですよ」
フランシスの出身を聞いてからずっと思っていたらしいこと
まぁ、予想の範囲内だけどねぇ
「別におかしな事じゃないと思うけどねぇ」
聖獣の宇宙には宇宙の意思が存在している
宇宙の意思たるあの存在が知識の元にしているのは聖地の住人
────主に、陛下や補佐官
「可笑しくはない、ですか?」
「良く考えれば解ることだけどね」
ルヴァも、“常識”に捕らわれているんだろうね
聖獣の宇宙のあり方が聖獣の意思によって決まっているというのなら
聖獣の知識が彼女達の知識を元にしているというのなら
「アンジェリークとレイチェルだけなら、ルヴァが言う通りだったかもしれないよ」
あの二人はごく普通の少女。
レイチェルだって天才なんて言われてもまだ10代の子供だ
貴族の暮らしはもちろん、大人の世界だって理解しちゃいない
けれど、あの宇宙の“陛下”は二人
「アリオスが何者だったか覚えているでしょ?」
はっとしたようにオリヴィエを見るルヴァの様子に、オリヴィエの口元が楽しげに上がる
そうアリオス、いやこの場合はレヴィアスって言った方が良いだろうね
「彼は“皇帝”でしたね」
「そ、本物の皇族だよ」
“貴族”よりももっと高位の存在
その生活がどんなものだったのか、なんて無粋な事は聞いた事も無いけれど、彼が本物なのは確か
「貴族のあり方にも詳しいだろうね」
皇族たるレヴィアスの側には当然貴族が居たはず
その知識の中から聖獣が“正しい貴族”の姿を取り上げて採用した、なんてのはありそうな話じゃないか
「なるほど、そう考えれば納得ですね」
そう言ってルヴァがしきりに頷く
何に納得したのか聞きたい所だけれど
それは聞かない方が良さそうだね
窓の外へと向けられた視線に、オリヴィエは静かに口を閉ざした

END
 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送