秘匿



遠い遠い物語
まだ世界ができあがる前の事
ここでは無い小さな閉ざされた世界
小さな小さな宇宙の話
密やかに紡がれた大事件
過去も未来も、異なる世界も
全て巻き込んだ大事件
私では無い“私”が関わったと言う事件
それは、深く隠匿され
表だって語られることは無く
密やかに語られた事実は時に埋もれ
他に誰一人知る事無く、忘れ去られた
それはかつての知恵者の提案だったのか………
それ自体は忘れてしまった
ただ、誰かのお願い通り
私は過去を語らず
来るかも知れない未来の事も語らなかった
それは過去が変わる事の恐れであり
ソレと共に………

世界に不幸が訪れる
それは創世の時から知っていた出来事
防ぐならば───
対策を取ることも出来ただろう出来事
世界が、宇宙が闇に飲み込まれる
かつての力に満ちた時代とは違い、今この時には対抗するだけの力は無い
なすすべ無く壊される世界
人々は身を寄せ合い、不安に怯え───
誰からとも無く上がった声
今もなお伝えられる遙かな昔
最も力に満ちあふれていた時代
───ああ、こんな風にして………
人々の声、望みに困惑する彼女達を見つめる
時を渡る
そんな手段は誰も知らず、何処にも伝えられては居ない
だが私は、ソレがなされることを知っている

辺境から次第に飲まれていく宇宙
暗い話題が広がる中
1つの惑星の事がもたらされる
そう、その地が1つのきっかけ
私はそこがどんな場所で、どんな役割をするのかを知っている
私は私の役割を果たし、その時を待つ
そうして───
遠く聞こえる願いの言葉
ぼんやりと希薄な世界
今まで感じたことの無いおかしな感覚を感じる
ようやく始まる

もう一度会うことが出来る
そう想うと共に私は眠りについた

 

END
 
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