問い掛け



欲しいものはなんですか?
幾度となくした質問
幾人もがした質問
幾つもの質問の答えはいつも同じ
“欲しいものなんか無い”
具体的に何かが欲しいって言われたことはなくて
手探りで想像して
こっそり相談なんかもして
そうして選んだ贈り物
何を贈っても喜んではくれたけれど
それが欲しいモノの中に入っているのかさえも解らない
心の底から喜んでくれたかどうかなんて、勿論判断も付かない
どうせなら、本当に喜んでくれるものを
そう思って試行錯誤して
手を変え品を変え
皆で工夫を凝らしてみたけれど
………あなたが欲しいモノはなんですか?
何かが欲しいと思う気持ちはありますか?
あなたが喜ぶ事
あなたが喜ぶモノ
自己満足では無くて
あなたの為に贈りたい
みんなそんな気持ちで居るから、何度も何度も繰り返された問い掛け
今年もまた、同じ様に問い掛けて………
少しだけ生まれた変化
なんでも無いみたいに返事をして
分かれて少しして、思わずこぼれる笑み
大きく深呼吸して、心を落ち着けて
すれ違った人に
“楽しそうですね”
なんて声を掛けられて、弾む足取りに気が付いた
いつもと同じで、いつもと違う、選ぶ楽しみ
欲しいモノ
初めて貰った返事
あなたが口にしたソレが、一番欲しいモノではなくても
まずははじめの一歩
ここから少しずつ
欲しいモノを口にして
欲しいモノを手に入れて………

繰り返した長い年月
繰り返されたやりとり
お互いに少しずつ、ゆっくりと慣れていって
聞いて、聞かれて
いつもの質問
「欲しいモノはある?」
問いかけの言葉に向けられた視線

欲しかったものは手に入りましたか? 

END
 
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