「ねぇ、プレゼントは何が良い?」
数日前、難しい顔をしてアンジェリークがきいてきた
「………プレゼント?」
アリオスはアンジェリークの言葉を聞いてカレンダーを目に移す
ああ、そういや俺の誕生日か?
アリオスの表情を伺っていたアンジェが
「それで、何が欲しい?」
改めて聞く
「欲しいもの、ねぇ」
そう言われてもな
「いきなり言われても考えつかないな」
「でも、何かない?」
アンジェリークがアリオスの顔をじっと見つめる
何かね………
期待する目にアリオスは『欲しいもの』の事を考える
ああ、そういや………
考えた末に漸くひとつ思いつく
指先でアンジェを呼び寄せて耳元で
「俺を驚かせるようなコト」
慌てた様に俺を見上げるアンジェリークの姿に思わず吹き出してしまう
「………からかったのね」
恨みがましい視線
「別にからかっちゃいねぇさ」
驚かせる―――楽しませる事をというのも本心だ
最も、アンジェ達の言動はその大概が驚かせるものだ
わざわざそんな事は教えてやらねぇけどな
ひとしきり文句を言った後アンジェリークが改めて欲しい物を問いかける
「――――――」
アリオスの答えに、アンジェリークは驚いた顔をして、嬉しそうに笑った

パーティーも終わった夜
二人だけの部屋でアンジェリークは小さな箱を取り出す
「………なんだ?」
「プレゼントもあげたいと思ったの」
「へぇ?」
アリオスは手を伸ばして、プレゼントを持つアンジェリークの手を握る
アンジェの目が驚いた様に丸くなる
アリオスが腕を引くと、アンジェリークが腕の中に倒れこんでくる
アリオスはアンジェリークをしっかりと抱き寄せる
「アリオスっ」
真っ赤になってじたばたする身体をしらない振りで腕の中へと閉じ込める
「開けるぜ?」
アリオスの言葉にアンジェリークの身体の動きが止まる
期待に満ちた目がすぐ近くから見つめている
抱きしめた手を緩めないよう気をつけながら、小さな箱が開けられた

深夜、誰もが寝静まった頃、アリオスは一人月を見上げる
日付はとうに回って全ては昨日のこと
「ま、悪くない一日だったぜ」
悪くはない、いやなかなか楽しかった
アリオスは手の中の贈り物を月にかざす
はめ込まれた小さな石が月の光を反射した
 


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