二律背反


 
もしも………
もしも?もしなんて言葉はあり得ない
ふと思い浮かんだ言葉をすぐさま否定する
もしもと言う言葉に何の意味がある?
浮かぶのは、くだらない幻想、捨てたはずの感傷
頭を一振りし、くだらない思考を追い払う
眼下には平和な世界が広がっている
敵意を覚える程平和な世界
そして、焦がれる程の憧れを感じる世界
憧れ?
平和に穏やかな顔をして暮らすこの宇宙は、自分の計画を実行するのにこの上なく都合の良いモノ
そう考えていた、それしか考えていなかった
憎んでいたはずだった、全てを破壊するはずだった
それが、憧れ?
平和に暮らす人々の声が風に乗って聞こえてくる
平和に暮らす?
すぐ側で生き物が魔物と化しているのにか?
呼び声が聞こえた
視線を向けると、笑顔で手を振る少女が見える
別の宇宙の女王…………
宇宙を救うため……女王を助け出す為に呼び出され、関係のない戦いを続ける少女
黙ったまま立っていると、不思議そうに首を傾げる
この宇宙に残された希望……
希望を握りつぶす為に……より効果的に悲劇を引き起こす為に……
その肉体はただの入れ物
………そのはずだった…………
そのはず?
いや、今でもそのつもりだ
「アリオス、どうしたの?」
「別に、なんでもねーよ」
ゆっくりと、先に立って歩き出す
置いていく事に対する抗議の声
穏やかな………
いずれ壊れてしまう、自分が壊すおだやかな時間
……関係のない事だ
全てが壊れようとも、それは一切関係のない………
   
もうすぐ終わりを告げる偽りの時間
それまでの間付き合ったとしても………
 
END
 
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