偽り


 
にぎやかな声
アリオスは声を上げるその集団を冷ややかな目で見つめていた
統一性のない人々
こいつらが守護聖………
状況も省みず騒ぎ立てる声
甘やかされて育ったガキ
閉ざされた世界でゆがんだままに育てられた人間
「……それで陛下のご様子は………」
とぎれとぎれながら聞こえる声に、アリオスは頬をゆがめた
のんきなものだな……
平和であることを甘んじて受け、
自ら動く事をせず、傲慢とも取れる態度で命じる者
何かをして貰うのが当然だという態度
どんな世界でも変わらない
こんな奴らが、力を持つのか……
「……アリオス……」
アンジェリークが彼等の元でアリオスを呼ぶ
忌々しい
「やっと紹介してくれるのか?」
この様な者達、器でさえなければ、滅ぼしてやったものを……
「ええ……こちらが……」
1人1人を紹介する声が続く
値踏みする様な不快な心が向けられる
好きな価値をつければ良い……
お前達に真実を読みとれる力などない
「俺はアリオス………」
俺の挨拶は、平和ぼけした守護聖サマには気にくわなかったらしい
寛大な態度をとりながら、たちまち不機嫌だ
大変だな、足手まといを引き連れて
ご機嫌を取りながら、宇宙救出の旅へ出発だ

「ごめんなさい、アリオス……」
人騒ぎ起きた顔合わせの後、そっと、アンジェリークが近寄ってきた
「気にしちゃいないさ」
疑いを抱く者の方が賢いんだ
「でも……」
馬鹿な奴だ
「だいたいお前が気にする様な事でもないだろう」
「でも、アリオス……」
しつこい女だ……
「いちいち、めんどうな事してるな、他にやることがあるだろう」
突き放し、アンジェリークをその場に残し歩き出す
「……あ……アリオスっ」
腕を捕まれ振り返った
「あの、これからもお願い、ね?」
「……ああ当分付き合ってやるよ」
お前達が用無しになるその時まで
アリオスの答えを聞いて、アンジェリークは、嬉しそうに笑った

さあ、茶番劇の幕開けだ……
偽りを信じる愚かな者達
絶望に身を焦がすが良い

 
END
 
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