裏切りの戦場


 
剣が綺麗な軌跡を描き敵を払い除ける
躊躇いを見せたその隙に容赦なく、一撃が振り下ろされる
「……レヴィアス様……」
声に耳を傾けることもなく
彼は悠然と戦場を歩む
彼の歩みに従い、敵は怯んだように後ずっていく
「………道を開けろ……」
静かな声が命じる
迫力負けした兵士達が左右に道を譲った
レヴィアスは、部下達を従え悠然と、人の間を渡った

崩れ落ちる城を見ていた
距離があるはずなのに、泣きわめく声が聞こえる
崩れ落ちる城の地響きが伝わってくる
長い間過ごしたこの場所も、なんの感慨も抱かせない
壊滅を告げる声がどこか遠くで聞こえる
レヴィアスは、ただ頷いた

すべては消えてしまった
残ったのは瓦礫の山
天幕を抜け出したレヴィアスの目に映ったのは、殺伐とした景色
かつて、あれほど憎んだ場所はどこにもない
かつて、幸福だった場所も………
―――レヴィアス―――
懐かしい声が聞こえた
―――レヴィアス―――
静かな声
「悲しんでいるのか?」
静かに見つめる幻影が現れる
見つめ合った視線を先に逸らしたのは、レヴィアス
………お前は、許しているのか?
哀しい目で、エリスは口を開く
声が、聞こえない
………………
黙ったまま見つめるレヴィアスにエリスは必死で訴える
「俺には……我には聞こえない」
エリスをもう一度見つめ、レヴィアスは背を向ける
「……もうすぐだ、エリス」
レヴィアスは、すべてに決別を告げ、歩き出す
「我は………」
それが、願いに背く行為であっても
「皇帝を倒す」

「レヴィアス様!」
レヴィアスをかばうようにカインが身体を滑り込ませる
レヴィアスを狙った兵士の一撃は寸前のところでそらされる
「貴様!」
攻撃を仕掛けたのは、味方いや、味方だったはずの者
それを合図に、あちこちで裏切りが起きる
………
レヴィアスは、それをただ無表情に見つめていた

処刑が始まった
認めぬ……我は、認めぬ……
レヴィアスは、自らの力を解き放った
宇宙を渡る旅の間に、レヴィアスは、誰かの優しい声を聞いた気がした
 
 

END
 
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