視線


 
楽しそうな笑顔、明るい表情
意地悪をしたり、冷たく思える言葉を言ったり
様々な表情を持った人
新しい顔を見つける度に嬉しく思えるけれど……
ふとした瞬間、表情が曇る事にたぶんきっと、あの人は気づいていない
 
あ、また……
アリオスが、ほんの一瞬何かを探すような視線をする
親しくなるにつれて見せるようになった顔
何故、そんな顔をするの?
疑問は口に出すことは出来ない
返事が怖い
だから……許されるのなら、気づかない振りをしていたい
僅かな表情はすぐに消え去り、後は変わらない会話
そしてまた、聞くことが出来ないままに、話が終わってしまう
……だめだな……
アリオスが背を向け歩き出す
私、いつからこんなに弱くなっちゃったんだろう?
そっと、アリオスの背中から視線を外す
知る前から結果を恐れても仕方がないのに、本当はどうなのかなんて、聞いてみないと分からないのに
視線の意味に本当は気づいている
きっと、私じゃない誰かを捜している
それが誰なのか、知るのが怖い
それがアリオスに取ってどんな人なのか、知りたくない
きっと大切な人だと言うことだけは分かるから……
アンジェリークは、目を閉じ、心を落ち着かせゆっくりと目を開いた
大丈夫
今はまだそういう時期じゃないだけ
必要な時が来ればきっと…………
顔を上げ先を行くアリオスを追いかける
その時になったら………
 
驚いたように目を見張る
懐かしむような表情
私は誰と似ているの?
困惑したように私を見る
そして優しい笑み
私は私、あなたが想う人と違う所を見て!
 
 
END
 
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