想い


 
仕方ないなとでも言うように笑う顔が好きだった
面倒だと言いながら、助けてくれるその腕が好きだった
皮肉な態度も、意地悪な言葉も、寂しそうな瞳もみんな好きだった
一緒にいたのは、僅かな時間
数えられる程の期間
それなのに………
覚えてしまった癖、忘れられない言葉……
小さな出来事や、何気ない会話
何年も一緒にいたみたいに多くの思い出
あなたは本当に、私の敵だった?
真剣な眼差しも、守ってくれた腕も……
あのすべてが嘘?
偽りの中に、隠れた真実
時折話してくれた、本当の言葉
偽りと、真実
あの日、すべてを断ち切ろうとした姿
あの時、最後に見せた、哀しい瞳
 
短い期間でも、様々な想い出があるのに
始めに思い出すのは、その眼差し
 
騙されていたとか、敵だとか、もう、忘れた方が良いとか…………
想いに沈む私に様々な言葉が掛けられた
それは、励ましの言葉だったのかもしれない
信じていた相手に、裏切られた怒りの言葉だったのかもしれない
でも、彼の事は、本当に忘れなければいけない事?
 
一緒に過ごした時間は本物なのに……
語られた言葉も、本物だったのに……
 
励ましの言葉も、労りの言葉も全てがむなしく通り過ぎていく
まして、感謝の言葉なんて…………
 
彼は本当に敵だった?
頭の中を同じ言葉が過ぎっている
世界を乗っ取ろうとした極悪人………
きっと、そんな風に歴史には刻まれる
でも………
呆れたように差し伸べられた手
必死になって守ってくれた顔
 
周りが、歴史がなんと言おうとも
あなたは敵では無かったことを
私は覚えていよう 
END
 
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