疑問


 
「アリオスはいつも何をしてるの?」
それはごく自然な疑問
アルカディアで生活しているのだから、何かをしていると思う
けれど、アリオスが何をしているのはアンジェリークは知らない
それを疑問に思うのも、知りたいと思うのも自然な事
「さあな……」
アリオスは、いつものように言葉を濁して、笑みを浮かべる
「教えてくれても良いでしょ?」
ただ、知りたいだけなのに……
知ったからといって、何かをするつもりはない
……それは、もしかしたら様子を見にいくかもしれないけど
「それとも、教えられないような事をしてるの?」
そんな筈が無い事は良く判っている
「お前な……」
呆れたようなアリオスの声
そして、いつもの様に軽口の応酬になって
……結局、何をしているのかは教えて貰えなかった

そんな話をした数日後
アンジェリークは1人街の中を歩いていた
明るい笑顔の人々が楽しげに街を歩いている
アンジェリークはその様子を笑みを浮かべ見つめていた
え!?
突然襲う不気味な感覚
人々がほんの一瞬不安そうな顔をして
そして、不思議な感覚が辺りを包んだ
覚えのある力の発動
アンジェリークは、思わず力の方向へ向けて走り出す
たどり着いたのは町はずれにある小さな空き地
その中心に1人佇む姿が見えて
声を掛けようとした瞬間、消えた
良く知っている人の姿
アンジェリークは彼が居た場所へと恐る恐る近づく
残された力の揺らめき
良く知っている感覚
この力は、守りの力?
アルカディアの大地から時々感じていた、優しくて強い守りの力
アリオスだったんだ……
残された力へとアンジェリークはそっと触れる
微かに揺らめき
当たり前の様にアンジェリークの持つ力と解け合っていく
不思議な感覚
そして、知っていた感覚
――ありがとう――
アンジェリークは、嬉しそうな笑みを浮かべた

いつも何をしているの?
アリオスに聞いた言葉
アリオスは、私達を助けてくれていた
アルカディアを守ってくれていた
今度会ったときに同じ事を聞いたら何て答えるかな?
 
 

END
 
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