日常


 
「やあ、今日も良い天気だね」
気軽に掛けられる声、挨拶
当たり前の様に笑いかけ
通りすがりに肩を叩いて去る者もいる
「元気みてーだな」
同じように笑顔を返して
軽く挨拶を交わし、別れる
当たり前の日常
以前は、決して手に入れる事の出来なかった生活
当たり前に過ごす事
それが一番始めに抱いた望み
思い描いた希望
けっきょくこんな些細で、真剣だった望みだけは叶うってのも面白い
「そろそろかな……」
俺は時間を確認して、目立たない路地裏へと足を運んだ
 
気配を隠し、力を押さえ、低い塀の上に腰掛け、辺りの様子を見渡す
……来たな
始めに感じたのは、奴らの強すぎる力、気配
そして、いつも通りのにぎやかな一行が姿を現す
煌びやかな人影を先頭に歩く奴らの姿は
「いいかい、今日こそは捕まえてやるんだからねっ!」
異様に目立っている
………………………
あいつら、本当は判ってやってるんじゃないだろうな?
「今日は、あんた達は、向こうを回りなさい」
いつものように、オリヴィエの大声が聞こえる
威勢の良いかけ声と共に、各地に散っていく
毎日繰り返される光景
……わざと、なんだろうな
あのオリヴィエが、気づかずにあんな馬鹿な事を繰り広げているとは考え難い
頃合いを見て、自分で出てこいってことなんだろうが
気配は遠ざかり、この周囲に彼等が居る様子は無い
そういうのは運命って奴に任せるさ
身を隠していた路地裏から足を踏み出す
縁があるんなら、どんなに避けてたって、いずれ会うだろうしな
 
そして数日後、森の中で偶然出会った


END
 
 
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