必要な存在
 
足りないと感じていた力が溢れている
長い眠りの末に目覚めた今
記憶のほとんどが白い膜の中に包まれている
それでも、解っている事が幾つかあった
それと同時に感じていた事も幾つかあった
倒すべきモノの存在
その為に欲した力
助けを求めた事
そして、助けを求めた相手が誰なのか

銀の大樹の下、彼は空を見上げた
包み込む数種の力
その中でも新しく現れた力を静かに見つめる

目覚めてすぐに出会った少女が、願い求めた相手である事にはすぐに気がついた
そして、彼女に感じた懐かしさ
奥底に眠る記憶が、何かを告げる
根底に感じるのは、不思議な安堵、絶対の信頼

彼は飽きる事無く、空を見上げる
別種の強い力は、深く沈んだ記憶を揺さぶる
それは不快な感じはせず、むしろ………

やがて時がたつにつれ、満たされない感覚を感じていた
霧にとらわれ封じられていた人々もまた
救いの手が伸びた事に喜びながら、どこか不安気に辺りを見回していた
―――何かが足りない
心の奥底で囁いていた声
求めていた存在は確かに居て
その他にも力に満ちた存在が居た
それでも、時間が経つにつれ、何か重要なモノが足りない気がしていた

空の彼方でぶつかり合う力がはじけるのが見える
不意に出現した力は
その存在を寸前まで隠していたにもかかわらず
何故か、この世界にしっくりと馴染んだ

現れた力に彼が感じたのは、安心感
力が現れた事によって、ようやく足りなかったモノが埋まった事に気づいた
渇望していた力の出現
―――もう大丈夫
記憶の奥底で求めていたモノ
力が現れた事によって、この地に住む人々もまた、安心したように空を見上げていた

柔らかな力が、大地に染み込んで来る
大地のどこかで、封印が解ける気配を感じた
同時に、私の中の記憶がうっすらと浮かび上がってくる
すべてを思い出すには、もう少し時間がかかる

見上げる空では、強い力がこの世界を守っている
あの人達の力を借りれば、今度こそ……………
記憶の底から語りかける声に耳を傾けながら、彼はゆっくりと眼を閉じた
 

 

END
 
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