愁傷


 
夢を見る
今は遠い過去の記憶
それは、俗に言う悪夢というヤツだ
だが、それはずっと覚えていなければならない記憶
付随する悪夢の部分を覚えておく義理はないだろうが、過去の事実は自分が在る限り覚えていなければならない
時の流れに詳細は薄れてきたとしても
一応の決着をつけたが為に、細部を忘れようとしていても
罪は罪だ
かつて手にいれたいと思ったモノは無意味なものだと知った
手にいれたいと思っていたモノが間違ってい事を知った
もはや意味の無いモノ
むしろ、様々な制約や枷、存在の重さに決して欲しくないモノ、いらないモノに変わった
夢を見る
過去の自分の姿
かつて目指していた場所
今はもう亡い幾つかの姿
必要は無いと、見切りをつけた今頃になって伝えられた話
―――夢はその直後から現れた
幾つもの声が聞こえる
かつて聞いた言葉
かつて放った言葉
幾つもの呪縛
かつての自分が目をさます
―――そんな錯覚を覚える
自分は自分
人格も性格も、感じ方や考え方も全く同じだ
今更過去の自分へと戻ることは無い
―――そう思ってはいる
だが、絶対に無いとは言い切れない
ほんの些細なきっかけで―――
夢を見る
過去の光景
過去の出来事
幾度も繰り返し夢を見る
そして
滅び行く世界の姿
世界が上げる悲鳴が聞こえる
起こりうるかもしれない未来を夢見る
―――ただの夢、未来を予知する能力なんか無いのだから
だからと言って脳天気に無かった事にできる程太い神経は持ち合わせていない
そして今日も夢を見る

決断をするその時まで
世界の手を取るその時まで
繰り返し夢は続く
 
 

END
 
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