彼について思うこと


 
アリオスの事を告げられて、感じたのは戸惑い
それから、それから………

レイチェルや皆様方が、歓迎してくれる事は、意外だったけれど、それでも嬉しい
アリオスがちゃんと認められて受け入れられている気がしたから
だけど………
“私と共に宇宙を統べる存在”
エルンストさんが言った言葉
陛下やロザリア様の言った言葉
それは私には全部理解出来なかった
―――したく無かった
あの人と、アリオスと共に在ることが嫌な訳じゃないの
あの人が宇宙を統べる存在だということに不満がある訳じゃない
アリオスと一緒に居られるのなら、それ以上に嬉しいことは無い
アリオス以上に上手く宇宙を治められる人が居るとも思わない
だけど、でもね………
宇宙を統べる存在―――皇帝陛下―――という存在は、アリオスを縛る枷だと思った
アリオスには“自由”にそして“好きなように”生を送って欲しいって思っていた
今度こそ彼らしく生きて欲しいってそう願っていた
なのに………
私は“女王”という今の立場を誇りに思っている
だけど“女王”である事に息苦しさを感じたことが無いなんて言ったら嘘
“女王”である事が苦しくなかったなんて言ったら大嘘つきだ
だから、アリオスが私と同じ立場になる事は歓迎出来ないの
あなたはあなたらしく好きな様に生きて欲しい
そして、もう一つ
あなたの過去を思って………
ただのわがままだけれど、あなたが過去追い求めた現実がこんな形で手に入るなんて、きっとあなたが傷つくんじゃないかって
………いいえ、傷つけてしまうんだって思っていた
“サクリア”が検出されたなんて、それは間違いであってほしい
ずっとそう思っていた
“確かに確認した”
っていう言葉を幾つも聞きながら、私はそれは気のせいだって思いたかった

アンジェリークの頬を涙が伝う
サクリアを感じる
―――感じてしまった。
陛下のサクリアではない、けれど紛れもない“王”のサクリア
ほんの少しレイチェルが持つものと似ているけれど、全く違うの
………どうしよう
混乱した頭で考える
考えるけれど、頭のどこかではちゃんと解っている
―――これは私が考えてもどうしようも無いこと
それでも、それでも………

遠くから感じるサクリアの奔流に、アンジェリークは長い間ただ立ちつくしていた
 
 
 

END
 
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