約束の地


 
約束の地
居心地のよいあの場所がそんな名前で呼ばれていることを知った
“約束”などと意味深な名前が付いているのなら何かいわれがあるんだろうと思っていたが、特に興味は覚えなかった
別に他人が何を思って名前をつけようが関係ない
そう思っていたし、今も思っている
だからそれは本当にたまたま、だ
「どういういわれがあるんだ?」
ただ気が向いた、それだけのこと
“そういえばどうしてそんな名前なんだろうね”
別に特に知りたかったわけじゃない
知らないなら知らないでそれで別によかったんだが………
由来を知っている人を探す問いかけの声があちこちで聞こえる
勝手に盛り上がった、街人達の姿にため息をついて、アリオスはこっそりその場を立ち去った

約束の地
いつものあの場所がそんな名前で呼ばれていることは知っていた
そんな名前だから、『約束』が叶ったのかも、なんて少し思っていた
だから、街の人達が“約束の地”の由来の話をしているのを聞いて思わず足を止めた
ケレド、そっと耳を傾ける彼女達の会話で分かったことは、誰も由来を知る者がいないということ
残念だな………
通りすがりの人さえも捕まえて由来を聞いている彼女たちの様子に、私は立ち去りがたくその場に立ち止まる
「あんたも興味があるのかい?」
不意に掛けられた声に
「はいっ!」
アンジェリークは思わず元気に返事をした

約束の地の由来
それは結局謎のまま
なぜかって言えば、それは全部好奇心
人々の関心を集めた話だから、
次第にそれは噂話とか
出所の怪しい怪談話とか
有りそうもないおとぎ話とか
さまざまな話が作られていく
そのうち語られる話のどれが本当なのか誰にも分からなくなってしまった

今日も新しい噂話が辺りを飛び交う
その様子にアリオスは肩を竦め
アンジェリークはため息をついた
 
 
 

END
 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送