それぞれの意見


 
「………そんなわけで、皆様方の意見を聞きたいと思います」
アリオスの意見を聞き入れて行った会議、それぞれが思うところを話していただこうと思いましたが………
会議の席はたちまち喧騒に包まれ、個々人の話を聞くどころではない
意見を聞くためにはそれぞれを個別に回らなければいけないということでしょうか
………それは流石にやりたくはありませんね。
エルンストは彼等に気づかれないよう、深くため息を吐く
「それで、意見は出ているのかしら」
彼等の話し合いが途切れたところで、女王陛下が言葉をはさむ
とたん、一部の守護聖達の態度が一変する
さすが陛下というべき、でしょうか
いえ、それもなにか違う気もしますね
それと守護聖の態度に一言言いたい気もしますが………
エルンストに代わるかの様に、セイランが一言余計な言葉をはさみ、再び騒ぎとなっている
余計な言葉は慎むべきでしょうね
再び進まない話に、エルンストはもう一度溜息をつく
「いいわ、エルンスト、話を続けて頂戴」
女王陛下の言葉に、エルンストは、一度咳払いをし、もう一度はじめから話し始める。
「ラ・ガと呼ばれる存在のことですが、あの存在が宇宙に害を与える存在である、ということには異論はないかと思います」
エルンストの言葉に、賛同の意が示される。
「それでは、もう一方の存在“エルダ”のことですが………」
謎の存在
“敵”というわけではなさそうですが、かといって味方だというのには不明な点が多い
「そう、彼は記憶があいまいだったね」
名付け親ともいえるセイランの言葉に、エルンストは肯定の言葉をはさみ、話を続ける
「ええ、彼がなにもので、何を行うためにこの地にいるのか………その大部分が不明でした」
そう当初は全く不明だったことも多いが、次第に判明してきたことも多い
「かの人物は、どうやら“ラ・ガ”と敵対しているという事は分かっています。また、彼が新宇宙の女王アンジェリークに助けを求めていることも判明しました」
なぜこの場所に彼が存在するのか、そのこと自体はまだ不明です
「それとこれは推測になりますが、アンジェリークがここに来ることになったのも、彼の存在があったからと思われます」
彼自身が呼び寄せたものなのかはまだわかりません
私自身はその可能性は充分にある、とは思いますが、これは特に言わなくても良いことでしょう
「ただ、彼の存在がどういったものなのかがわからない現状では、どう協力すべきなのか判断がつきません」
この場所から脱出するためには育成を続け、この地を正常に戻す必要があることは確かです
「悪い存在では無いとおもうよ」
エルンストの言葉が終わり、まずは躊躇いながらマルセルが簡潔な感想を告げる
「そうだねぇ、ワタシも嫌な感じは受けたことがないねぇ」
オリヴィエ様の言葉に続き、守護聖様方が次々と発言するが負の感情を語るものはいない
「みんなの意見は同じようだけれど………」
女王陛下の視線がクラヴィス様へと向けられる
「私よりも、アンジェリークに聞いてみるが良い」
クラヴィス様の言葉にジュリアス様が何事かを言おうとするのを遮り
「そう?ならアンジェリークはどう思うのかしら?」
女王陛下がアンジェリークへと話を振る
「私は………」
アンジェリークが、何かを思い出すようにじっくりと考える
「たぶん、何か懐かしい気がします」
小さく首をかしげる
「いいえ、そうじゃなくって、知っている人なのかしら?」
アンジェリークの言葉に、皆の視線が集まる
「待ってください、覚えのある人なのですか?」
代表した私の言葉にアンジェリークが自信なさげに肯定する
ざわめき始めた会議室の中で
「レイチェル、あなたはどうです?」
「え?ワタシ?………ワタシ自身は本人に会ったことがあんまりないんだよネ」
だからあまり分からないという言葉が続けられる。
「あの、やっぱり、私の知っている人なんでしょうか?」
アンジェリークがクラヴィスへと問いかける
自然と人々の視線が集まる中
「………その様だな」
クラヴィス様が衝撃の発言をした

研究院の一室
アリオスを迎えての話し合いの2回目
「あなたの言う通り聞いてみました」
「へぇ?それでどういう結果だった?」
どこか面白がるような彼の口調が、すでにこの結果を知っているのではないかと予感させる
「どうやら彼はアンジェリークの知り合いだということが判明しました」
「知り合いには違いないだろうけどな………」
溜息交じりの言葉に、エルンストは身を乗り出した

END
 
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