予想外の衝撃


 
目の前が真っ白になった
後になって思えば、良く聞き返さなかったと褒めてやりてぇくらいだ
それだけ、言われた言葉は予想外で、一瞬何を言われたのか理解ができなかった
今この状況で告げられるとは思っても居なかった言葉
珍しく言葉に詰まった俺の様子に気づくことなくアンジェが尚も言葉を続ける
この状況だから告げなければいけないと思っていたと
誤解を与えたくは無いから
………誤解?
そんなものする筈がねぇ
協力が欲しいからと言って、そんな駆け引きめいたことができる筈が無い
だいたいそんなコトを言われる迄も無く―――
言いたいことを言って、逃げだそうとしたアンジェリークの腕をつかむ
「………待てよ」
この状況で逃げ出されたら俺の立場が無いだろう?
いや、既に、俺の立場なんてものは無くなっている
アンジェリークの気持ちは、ずっと前から知っている
知っていて、ずっと触れずにいた
触れずにいた理由は、いろいろと複雑なものがある
そう言いたい所だが………
こうなっちまっては、何を言ったところで言い訳にしかならねぇ
アンジェリークの気持ちは解っていた
自分の望みだって自覚はあった
何もかも解っていながら目を背けていたのは俺自身だ
わざわざ居場所まで用意されていたと言うのに、くだらねぇ言い訳をしていたのは俺だ
なし崩し的な協力
それだって、“無理矢理”だってコトにしておけば俺が楽だった
面倒な言い訳をとっぱらっちまえば、手を出したがっていたのは俺の方だ
頼りにされることが嬉しく………誇らしかった
俺の力を目当てにしている、なんてコトは少しも思っちゃいねぇ
大手を振って、傍にいるコトの出来る力を手にして、喜んでいたのは俺の方だ
ただ、それを認めたく無かっただけ
様々な言葉を言い訳にして、認められる筈がないとそう思い込もうとしていただけ
ただ単に、受け入れられないという可能性を消去しておきたかっただけのコトだ

「アリオス?」
腕を掴まれたままのアンジェリークが不安そうに問いかける
微かに顔が赤いのは、思いがけない告白の名残ってヤツだ
今、告げなければ後悔する
何より、今で無ければソレこそ可笑しな誤解を生む
多分、顔は緊張に強ばっているんだろう
「アンジェ………」
喉が張り付く嫌な感覚
せめてものプライドで、俺は返事では無い言葉を告げた
 
 

END
 
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