内緒話


 
今後の話し合いが始まって、すぐに私が報告することは終わった
私が知っていることは少なくて、報告できることも提案出来る事も少ない
研究院と、街の人々との橋渡しをしていたヴィクトールさんやティムカさんの報告に感心しながら、話し合いを聞いていた
そして………
「ホント、イヤになる位情報持ってるヨネ」
さっきまで、エルンストさんと一緒に研究成果を纏め、情報を報告していたはずのレイチェルがいつの間にか隣に立っている
「そう、だね」
報告、というよりもめんどくさそうに質問に答えているのはアリオス
皆様が持ち寄った情報の合間を埋める様な細やかな情報が示されている
「自由に動ける範囲が広いっていうのもあるんだろうけどサ」
レイチェルの言葉が少しだけくすぐったい
アリオスは確かに私達とは一線を置いた場所に居たから、この地に住む人々との交流は私達よりも深い、と思う
「なんていうか、ホント、イイ人材だヨネ」
レイチェルの言葉に私はレイチェルへとゆっくりと視線を向ける
少し怖かったから
レイチェルのアリオスに対する認識が、望まない形のものなんじゃないかって
そう一瞬だけど思ってしまったから
………良かった
声には出さなかったと思う
私の視線に気が付いたのか、レイチェルが私を見つめて笑って見せた
レイチェルの言葉に嫌な所なんて無いことは解っていたのに
ただ、思ったことをそのまま言っただけ
誰も、利用しようとか、そんなコトを思っていない
気にしていたのは、私だけなのかな
きっと、アリオスも解っていたのかもしれない
でも………
「あのね、レイチェル………」
あの時の私の判断は、正しいんだってそう思っていたい
アリオスの為では無くて、私の為
きっとそうだけれど
それでいいから
「何?どうかしたの?」
「報告したいことがあるの………」
私の言葉にレイチェルは真剣な面持ちで顔を寄せた

アリオスとの経緯を簡単にだけれど報告した
「良かったじゃナイ」
レイチェルが満面の笑みを浮かべて、嬉しそうに言ってくれる
「うん、ありがとう」
心からの祝福の言葉に、自然に笑みがこぼれる
「それなら余計に、気合い入れて帰らないとネ」
そしてさり気無くつけられた言葉に、私は慌てて、レイチェルの腕をつかんだ

END
 
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