闇の色


 
深い闇が見える。
銀の大樹を取り込むように深い闇が見える。
あの場所こそがラ・ガの住む場所。
ラ・ガに通じる場所。
そして、アルフォンシアが封じられている場所でもある。
女王や守護聖達が、あの場所が気になるのは当然のことだ。
自分達になじみ深いもの。
守らなければならないものが封じられているのだから。
―――厳密には、自分達が守るべき対象とは少し違っているが、な。
いわば同種族だということで、守るべき対象に含まれているんだろう。
そういった気持ちがあの場所へと近づくことを望ませている。
だが、近づけるわけには行かない。
特に身を守るための力を持たないもの。
―――利用されやすいもの。
簡単に言えば、お子様達は近づけるわけに行かない。
が、こういった時に危険に近づいて行くのは必ずお子様達だ。
忠告を素直に聞くやつらなら心配はないんだがな。
気配を探りながらアリオスは、宮殿の外へと足を向ける。
ま、今のうちは大丈夫だろうがな。
忠告されてすぐに無謀なことをするほど馬鹿ではない。
アリオスの視線の先に幾つかの人影が見える。
「あまり口うるさく言うと逆効果なんだがな」
自分自身の体感からの実感だ。
ま、言ってる奴らはわからねぇのかもしれねぇけどな。
苦笑とともに、アリオスは彼らの元へと足を運ぶ。
「何をもめてる?」
アリオスの声に幾人かが振り返った。

暗い闇が見える。
銀の大樹を中心に暗い炎が吹き上がっている。
燃え広がろうとする炎を押さえ込もうとする力。
2つの力がぶつかり、大地が振動する。
アリオスのすぐ側で息を呑む音がする。
「これが………」
「ああ」
鬩ぎあう力。
押さえ込む力を打ち破るためにより多くの力を取り込もうとラ・ガが周囲に力を伸ばす。
取り込もうと蠢く様子が不気味な触手に見える。
「気持ち悪い」
小さくつぶやかれた言葉。
幾人かの顔色が青ざめている。
目に見えることで不気味さが増し。
不気味な力を感じる。
そして、流れ込んでくる悪意と憎悪に満ちた感情。
悪意が増幅してやがる。
「お前達があの力に取り込まれたらどうなるかわかるだろ?」
アリオスの声に神妙な反応が返ってきた。
 

END
 
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