深い闇が見える。 銀の大樹を取り込むように深い闇が見える。 あの場所こそがラ・ガの住む場所。 ラ・ガに通じる場所。 そして、アルフォンシアが封じられている場所でもある。 女王や守護聖達が、あの場所が気になるのは当然のことだ。 自分達になじみ深いもの。 守らなければならないものが封じられているのだから。 ―――厳密には、自分達が守るべき対象とは少し違っているが、な。 いわば同種族だということで、守るべき対象に含まれているんだろう。 そういった気持ちがあの場所へと近づくことを望ませている。 だが、近づけるわけには行かない。 特に身を守るための力を持たないもの。 ―――利用されやすいもの。 簡単に言えば、お子様達は近づけるわけに行かない。 が、こういった時に危険に近づいて行くのは必ずお子様達だ。 忠告を素直に聞くやつらなら心配はないんだがな。 気配を探りながらアリオスは、宮殿の外へと足を向ける。 ま、今のうちは大丈夫だろうがな。 忠告されてすぐに無謀なことをするほど馬鹿ではない。 アリオスの視線の先に幾つかの人影が見える。 「あまり口うるさく言うと逆効果なんだがな」 自分自身の体感からの実感だ。 ま、言ってる奴らはわからねぇのかもしれねぇけどな。 苦笑とともに、アリオスは彼らの元へと足を運ぶ。 「何をもめてる?」 アリオスの声に幾人かが振り返った。 暗い闇が見える。
END
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