今後の行動


 
「それで、具体的にはどうするつもりだ?」
「どうすると聞かれてもな」
前にも言ったと思ったが、俺自身にはなすすべはない
俺自身はラ・ガに対抗する手段を持ってはいない
「結局のところはお前たちのサクリア任せってところか?」
アリオスの言葉に、いくつか溜息がこぼれる
「その手段は危険ではないのか?」
「まぁな、だが危険を伴わない手段なんてものは一つもない」
幾人かが納得したように俺の言葉に頷き
「その事はお前達も分かっているんだろう?」
次の言葉で、幾人かが渋い顔をする
「今はどこまでラ・ガの力を削り、あいつに力を渡すことができるか、だ」
「それにはサクリアで育成を続けるしかないということだな」
「ああ、それと………」
俺の言葉に勢いこんで振り返る
そこまで期待されても、出ねぇものは出ないんだがな
「………ところどころ残ったままの霧の吹きだまりは払っておいた方がいいな」
「確かに、あの霧をそのまま残しておくのは危険だ、そちらの方は早急に手を打つとしよう」
一人では決して行動しないこと
誰かに行き先を必ず告げること
出先から戻ったならば必ず戻ったことを報告すること
“子供か?”と思うような注意がいちいちされているが
「確かに、こういう状況では、誰がどこで何をしているのか把握しておくのは大切なことだ」
俺やヴィクトールが同じ見解を示したことで、お子様達の文句の言葉も止まる
「二人以上で行動するにしても、組み合わせには気をつけろよ」
行動を共にする相手一つで裏をかかれる可能性ができる
そして、アリオスは守護聖としての力を持たない彼等へと視線を向ける
「お前達は必ず守護聖の誰かと組んだ方がいいだろうな」
アリオスの言葉に、セイランが肩をすくめてみせる
「確かに、僕等はラ・ガの気配に気づくことなく取り込まれてしまうだろうからね」
これだけの時間があれば、向こうの方も、こちら側の人間関係を把握するのに充分だったはずだ
下手にラ・ガの領域に近づけば都合のいい人質として取り込まれることになる
盾にでもされたら、こいつらでは手も足も出なくなることもわかりきっている
「解っているなら気をつけろ」
アイオスはそう言い置き、その場を離れようとした
「ちょっと、待ちなよ」
左腕がつかまれる
「………なんだ?」
腕をつかんだオリヴィエの手を振り払いながら、仕方なく振り返る
「一人で行動するなって言われたでしょ?」
ウインク交じりの言葉に、一瞬背筋が寒くなる
「あんただって、狙われる可能性があるんでしょうが、一人で出歩くなんて当然禁止よっ」
オリヴィエが指を突き付けるのと同時にオスカーの手が肩をつかんだ

アリオスが部屋の片隅の椅子を不機嫌そうに占領している
こうやって、ここに無理やり押しとどめられている状況が気にいらないんだろうが、この状況はアリオス自身が招いた結果だ
一度乗っ取られた経験上、再び乗っ取られる可能性があると口にしたのはアイツだ
アリオス自身にラ・ガへの対抗手段がないといったのもアイツ本人だ
「つめが甘いな」
そう呟いた途端、凶悪な視線が飛んできた
 

END
 
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