小休止


 
「待ち、だろ」
今のうちにするべき事
準備しておく事
不安なんだろうが、入れ代わり立ち代わり、似たような事を聞かれる
何度聞かれたところで答えは同じだ
今やれることなんてのは、せいぜい危険地帯に足を踏み込む奴がいないかどうか確認してまわるくらいだ
その他に出来るようなことは、すでに終わっている
この地にサクリアが満ちるのをただ待つだけだ
守護聖と女王達は、サクリアを贈るという仕事がある
いちいちやることがあるかどうか質問にくるのはその他の奴らだ
どうせ、守護聖の奴らも、今までよりもペースを上げサクリアを贈っている
その様子からすれば、程なくこの地にサクリアが満ちるはずだ
「どうせすぐに仕事が出来る」
サクリアが満ちれば、ラ・ガが動き出すことは解っているんだ
そのときになればすぐに仕事ができる
………………
確かに直接ラ・ガと対峙するのは、守護聖の奴等だろう
「対峙することだけが“やるべきこと”じゃないだろ」
その瞬間、不安定なこの地に何が起きるかは解らない
今まで一度も経験したことの無い事態だ、何が起きるのか予測する事だって難しいだろう
「その時に備えて休んでおくのも仕事だろ」
不足なく動けるように
どんな事態となっても戸惑う事のないように
今は、ただ黙って待機しておくべきだ
「待つことだって立派な仕事だ」
ただ待つだけってのは、結構な苦痛だけどな
何かしている方が遥かに楽だ
………俺自身、待っているのは得意じゃない
現在の霧の状況
そして、感じ取れるラ・ガの気配
双方の状況を考えれば
「すぐだ」
簡潔に答えると、アリオスはソファへと身体を投げ出し、質問を打ち切る
気配が無くなるころ、眼を閉じたままこっそりと“力”を使う
拮抗する力に不安定に揺らいだ世界を、“力”が繋ぎとめた

つかの間の休息の時間に、身体の上に暖かな日差しが降り注ぐ
まどろむ身体の直ぐ傍に、軽い衝撃を感じる
伸ばした手に、擦り寄ってくる暖かな感触
耳元に聞こえる遠慮がちに小さな声
小さな身体を掬い上げて、落とす
ベッドの下から不満そうな声が聞こえた
 
 
 

END
 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送