素朴な疑問


 
忙しくそうに働く人々の姿が見える
この地の状態は佳境に入り
事情を知る者も
事情を知らぬ者も慌しく動いている
その忙しそうな人々の中にあって、それは当然の事ながら守護聖達が一番忙しそうだ
忙しそうなのは結構だが、あまりに根を詰めてもな………

この地を満たすサクリアの量
この地に暮らす人々の状態
そして、ラ・ガの様子
日々の情勢は刻々と変化している
細々とした状況を探る為に走り回っている
自分達で状況を把握することは大切なことだ
だが、何から何まで自分達で行う必要はない
もう少し手を抜くということ
そして、必要な情報を見抜き使うことも大事だ
………と、わざわざ忠告してやっても、実行できそうもないけれどな
だいたい、そういった情報の取捨選択は、簡単に出来るようなことじゃない
いざというときに、倒れていました
なんてことにならねぇ様にせいぜい気をつけてもらいたいものだけどな
いや、まてよ………
以前の“旅”でも、目的があったとはいえ、一度も旅をしたことの無い連中が、面倒な旅について来ていた
窓の外を大きな声を上げながら年若い守護聖たちが通り過ぎていく
「守護聖ってのは、病気にはなるのか?」
本当は、疲労を感じるのか?
とそう聞きたいところだが、思い出してみれば“疲れた”という言葉は幾度も聞いた
身体の不調を感じないとか、そういった可能性はありそうなんだが………
「さぁ、そういうことは聞いたことはありませんわ」
アリオスの言葉にロザリアが首を傾げ、アンジェ達が顔を見合わせる
「私やロザリアが知っている限りでは、そういう話は聞いたことは無いけど、ね?」
「ええ、私達も年数が浅いですから、もしかしたらそれ以前にってことはあるかも知れませんわ」
「可能性があるっていうのなら、気をつけた方がいいかもしれねぇぜ」
窓の外を足早にこちらに向かってくる人影が見える
「あんまり真面目すぎるからネ」
アリオスに習うように窓の外を覗き込んだレイチェルが納得したように頷く
「いや、それも気にはなるんだが………」
無理をして倒れたりしないかどうか
レイチェルが思い浮かべたのはそんなところだろう
3人の目がアリオスへと向けられる
「いや、単純な疑問だ………」
そして予ねてからの疑問
「………それって?」
好奇心に満ちた目がアリオスを見つめる

「うーん、私達も病気をした覚えは無いけど」
「ちょっと調子が悪いっていうことはあるよね」
「ワタシが思うに、時間の流れが遅いってのが多少関係しているんだと思うんダケド、病気にはなるんじゃない?」
現在の状況報告及び対策に対する話し合い
優先事項をほっといたまま、様々な憶測が話し合われる
ノックの音が聞こえる
「…………………聞こえちゃいないな」
扉を開ければきっと起きる一騒ぎを思いアリオスはため息をついた
 
 
 
 
 

END
 
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