恐怖


 
怖い
恐ろしい
日毎大きくなる感情
浄化されていく世界の中で唯一解消されない場所

そこに何があるのか知っている訳ではない
ただ、その場所に近づくことはできない
近づけば強い恐怖を感じる
足がすくみ
体調に異常をきたす
自然、人々の足はその地から遠のいていく

不意に感じる不安
町を歩く幾人かが突然弾かれたように振り返る
そして振り返ったことを後悔する様に、慌てて元の方へと視線を向ける
それから数分後、気味の悪い風が吹く
不自然な揺れを感じる
彼等が振り返った先にあるのは、一本の大樹
以前と変わらぬ姿で変わらぬ様子で、今も静かに佇んでいる
けれど、何かが違う
どこかが違っている
微かに地面が振動する
数ヶ月前に頻発した“霊震”のように激しい揺れではない
何かが現れるような、そんな気がする不気味な振動
口にしてしまえば、それが現実になってしまいそうで、彼らは口を閉ざす
時折、不安そう視線を向け
自分の姿に慌てて視線をそらす

どこかから、何者かの声が聞こえる
不気味な声
明瞭ではない言葉は、何を言っているかは解らない
それ以前に………
声に耳を傾けてはいけない
本能が告げる声
誰もが言葉を聞かない様に耳をふさぐ

悪意のたまる場所
何時の頃か、誰かが言った言葉
次第に、人々の間に浸透していく

“銀の大樹”
その場所は全てのはじまり
2つの存在のある場所
人々は、何かを感じ取り恐れている

「そろそろかも知れないな」
声の途切れたその瞬間に、ぽつりと呟いた声が響いた



 
 
 
 
 

END
 
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