備えられた役割


 
「もどかしいな」
何の手助けも出来ないというのは
守護聖達がラ・ガに対抗する手立てを話し合う中、守護聖のような特別な力を持たない自分達は、ただその様子を見守るしかない
「何らかの手助けが出来れば………」
「せめて、僕達が出来ることを精一杯がんばりましょう」
住人達の安全を確保すること
それも、重大な役目だ
ティムカの言葉に笑顔で返事をするが………
もどかしい気持ちはなくならない
やはり彼等だけを戦わせることにためらいを感じているのだろうか
ヴィクトールは話し合いを続ける彼等へと視線を向ける
あいつは、どう感じているんだろう?
陛下達と共にアリオスは、守護聖様方に何らかの指示を与えている
アリオスは、
アリオスもまた、ラ・ガとの戦いには参加しない
アリオス自身が参加をしない方が良いと決めた
アリオスも同じようなもどかしさを感じているんだろうか
いや、俺とは違いアリオスには力がある、これ以上にもどかしく感じているだろう
不意にアリオスが視線を向ける
アリオスの口元に微かな笑みが浮かんだ

「仕方がねぇな、下手に手を出したりしたら以前の二の舞だ」
ラ・ガから受ける影響
「確かにそうかも知れないが………」
以前アリオスがラ・ガに操られたことは事実だが、他の者も危険なのは変わりが無いのではないか
「あいつ等は、確かに不安定なところがあるが………少なくとも女王達は大丈夫だろう」
アリオスは窓の外に見える銀の大樹へと視線を向ける
「そして、必然的に女王が大丈夫なら、あいつらも大丈夫だろうさ」
陛下と守護聖の結びつき
確かに幾度か彼らの間にある結びつきを目にしたことがある
よくはわからないが、何らかの力が働いていることは事実だろう
「だが、陛下達が大丈夫だという理由にはならないだろう」
持っている力としてはアリオスも女王陛下も同等、もしかしたらアリオスの方が強いのではないかというのがエルンストの見方だ
「ラ・ガは、暗い感情ってやつに付け入り悪意を増幅させる、付け入る感情が無ければ操ることもできない」
悪意に満ちたラ・ガの感情
叩きつけられる憎しみの感情
「あいつらは、ラ・ガが付け入ることの出来る“本物の負”の感情を持っていないからな」
「負の感情か………」
確かに、彼女達は強い悪意を抱いてはいないだろうが
「知らないからこそ強くいられるんだろうな」
アリオスの声が、低く響いた
 
 
 

END
 
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