感情


 
笑い声が聞こえた
明るく、とても楽しそうな声
聞いているだけで、こっちまで嬉しくなるような、そんな声

爆発する様に広がった光の渦
誰かが呼ぶ声がして
渦を巻いて広がろうとする黒い力から私を引き離す
そして、私をかばうように立つ背中
初めて見る―――けれど懐かしい―――背中
守護聖達が、黒い光へ向けてサクリアを放つ
心が締め付けられる様な声が頭に響く
痛みと苦しみの声
それと―――
女王陛下が声を上げる
『放り出すぞ』
アリオスの声が聞こえる
無意識の内に、私は力を広げる
私達を守る力
狭間の中へと落ちてしまわないように
同時に広がる幾つもの力
結果的に
その力に押し出される様に
私達の力から逃げ出すように
ラ・ガは結界の外へ逃げ出していく
『陛下』
知っている者より大人びた声が私を呼ぶ
私は引き寄せられるように彼へと身を預け
導くように、視線を向ける
「行きましょう」
彼の姿が揺らぐ
「決着をつけましょう」
私の声にアルフォンシアが答える様に空へと向かう
空へと向かう私達に、光の粒子が降り注いだ

呪詛の声が聞こえる
嘆きの声が聞こえる
全てを破壊しようとする
暗い感情が流れ込んで来る
「チョット、大丈夫?」
背中に感じる暖かな掌
感情を浄化する、清廉なサクリア
「………ああ」
流れ込んできたサクリアは、
アンジェリークのものとも、あの女王のものとも違う
女王のサクリア
アリオスは立ち上がり
感情の残滓を振り払う
「………行ったか」
「ソウダネ………」
目で見る事は出来ないが、そう遠くない所に感じる気配
ほんの少しの間、空を見上げ
「サ、ワタシ達はワタシ達でやれるコトでもしよっカ」
レイチェルが明るく歩き出した

悲しい
苦しい
寂しい
声が聞こえる
助けを求める声が聞こえる
嘆き悲しむ声が聞こえる
隠されていた感情
長い年月の間に忘れられた気持ち
サクリアが力を増していく
「終わりにしましょう」
悲しげな声がこぼれ落ちた
 
 

END
 
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