収束


 
感情に触れる
ラ・ガと呼ばれる存在の中に残された感情
複雑に絡まった感情の数々
恨みとか
憎しみとか
強い悪意の奥底に隠された悲しい想い
感情に触れたところが強く痛い
痛みをこらえ救い上げた感情が、嘆きの声を上げる
本人も忘れてしまっていた感情達
長い年月の間に
自分達が何者なのか
自分達がなぜ負の感情を抱いたのか
それすらも忘れてしまっていた人
………いいえ人達
こうして触れて初めて解る事実
ここにあるのは、様々な人の集まり
中心にあるのは悲しい感情
悲しくて、あまりにも悲しすぎて
恨んで、憎んだ
―――ねぇ、アルフォンシア………
私の呼びかけに、未来のアルフォンシアが応える
―――はい、女王………
サクリアが流れ出す
ラ・ガを覆い
その身体を、感情をそっと掻き分ける
ラ・ガの中核となる感情をサクリアでそっと包み込む
サクリアで包み込んだその外側をアルフォンシアがそっと払う
払われて散らされて、負の感情が浄化される
―――この者は、私が連れて行きます
ラ・ガを抱いてアルフォンシアが私達の側を離れる
遠く、私の視線の先に時空の歪みが見える
彼らが来た時代へと続く場所
空間の歪みの中に彼らの姿が消えていった

「終わったな」
「上手くいったみたいダネ」
障壁の外側で起きた出来事
実際に目で見ることは出来ないけれど視えていた光景
「ネェ、アナタにも視えたの?」
レイチェルの質問に答えが返るより先に、すぐ側に幾人もの人影が降り立った
 
 

END
 
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