望み


 
我が儘で欲張りだった
けれど、いろんな物を無くして、諦めて………
だから、久しぶりに我が儘を言おう
我が儘を言って
押し通して
そうして、望みを叶えるの

平行線のまま話は進まない
終わったと思っていた
………いいえ、終わった事にしていた話
アリオスが私達の世界に無くてはならない存在だっていう話
守護聖様方やエルンストのお墨付きのサクリアの力
そして、ロザリア様やレイチェル、補佐官達が保証した力の性質
宇宙が統べる者が宿す力
私と同じサクリアの力
サクリアの存在を受け入れたからといっても
皆様方がアリオスの存在を喜んで迎えていても
あの2人や、この地に住む人々が運んで来た宇宙の仕組みがそうだっていっても
私達の宇宙へと共に行くことをアリオスは受け入れない
「ネ、アンジェ―――」
レイチェルが私にも説得に加わるように促すけれど
でも、ね………
言葉が見つからない
私がたまたま女王のサクリアを持った様に
彼がサクリアを持っているから、そんな理由で一緒に帰りたい訳じゃない
彼が生まれ変わる前の行い
そのことに対して、許せないとか、悪い感情を持っている訳でも無い
彼に対して、忘れるコトの出来ない想いは持っている
私以外の方々もそう
全てが終わった後に知った、彼の感情や彼の立場、生き方
いろんな思いを抱いて、そして今は“友人”として認めている
それは偽りの無い気持ち
本心からそう思っていることは、私もアリオスも解っている
けれど………
過去の行為を許していないのはアリオス
私達の中で、アリオスの本質はやっぱりアリオスで、レヴィアスっていう存在は押し殺され作られた存在
本当のアリオスではないって思っている
でも、彼もアリオス
あの旅の中、そして、この事件の最中
時折覗いたレヴィアスとしての彼
そして垣間見たレヴィアスとしての彼の中に見えたアリオスの影
アリオスにとっては、レヴィアスもアリオスも同じ自分
切り離すことなんて出来る筈がない
だから………
そっとうつむいて唇を噛む
アリオスは許しを得たい訳じゃない
理解されたい訳じゃない
長い時間をかけて、レイチェルに向かって首を振る
アリオスが聖地に来てくれるのなら嬉しい
同じ時間を歩んでくれるのならもっと嬉しい
でも、それは………
「ねぇ、アンジェ」
硬いレイチェルの声が呼びかけ
そして問いかけた

投げかけられた言葉に時が止まる
続けられた言葉に、場が凍り付く
それから深いため息が聞こえて
視線が絡んだ
 
 

END
 
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