本意


 
「まさかプロポーズされるとは思わなかった」
困らせるつもりなんかじゃなく
複雑な感情をもてあまして
つい口にした言葉
言った瞬間後悔した
非難されるか、怒らせるか
もしかしたら泣かせるかもしれないって覚悟は
一瞬にして消し飛んだ
重ねられる言葉
キッパリとした肯定
………かなわねぇな
解ってはいたけれど、とうてい太刀打ちなんかできやしない

様々な言葉が素通りしていく
言葉を尽くした誘いの言葉
一見偽善的な言葉も、彼等にしてみれば本心からの言葉
複雑な筈の感情に、彼等なりにけりをつけて
真実受け入れようとする言葉
………別にソレを疑っている訳じゃねぇ
俺自身の感情の問題
ただ、納得がいかない
“サクリア”という存在
確かにその力が俺の中にあるってコトは認めなければならない事実
その力がどうやら守護聖としてのものではないってことも、不本意だが認めざるを得ない
だが………
“サクリア”が、資質の片鱗があったからと言って
そうでなければならないなんて決まりはない筈だ
過去、いつの時代も女王候補者は複数居ただろう?
女王試験を行って女王を選出する
それが宇宙の慣例
宇宙が、女王を決定する儀式だろうが、
候補者と成った奴等にも、狭い範囲だが選ぶ権利はあったはずだ
なりたくないのならば、試験に取り組まなければ良い
………それが許されたがどうかは別だけどな
頭の隅をラ・ガの姿が過ぎる
思うように生きるコトの出来なかった者の末路
かつて望んだ地位
だが、今も昔も本当はなんの興味も持たなかった地位
俺には必要のない力だ
幾度目かの言葉を口にした

「別にアリオスの力を望んでいる訳じゃないわ」
力がいらないというのなら、誰かに譲って貰ったって良い
地位や役職が嫌だというのなら、何もしなくて良い
「私はただ、アリオスと一緒に居たいの」
傍に居て欲しい、一緒に居たい
アリオスの都合なんて考えない
これは私の我が儘
アンジェリークの言葉に不思議な程辺りが静まりかえった
 
 
 

END
 
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