アリオスの誕生日に関して
そんな秘密文書が各地を回ったのは1月ほど前のこと

秘密裏に物事を進めるなら、全員が共犯者になれば良い
そして、もっと秘密を濃くしたいなら、一人みはりをつければ良い
それも誰でも良いって訳じゃない
見張りに着くのは一番効果的な人
念には念を入れて、見張りは当日だけじゃなくて前日から
そんな取り決めがされたのが一週間ほど前の事
だから前日から、アンジェはアリオスと一緒の仕事
でもね、多分気が付いてる
何にも言わないけれど、明日が自分の誕生日だって事も、私達が何かを計画してる事も全部気が付いてる
だってね、アリオスが何か楽しそうだもの

扉を開ければクラッカーの歓迎と、おめでとうの言葉
年に数度主役を変えて行われる光景
『主役はこっち』の言葉で中央の席に座らされて………
………………
一人一品持ち運んでくるのは料理の皿
料理を運んで来たヤツが、それぞれ作った手作りの料理!?
目の前に置かれるそれは、手の込んだものから簡単なもの
明らかに本人の好みだろってヤツから―――
「これは僕が創ったんだけどね」
そう言ってセイランが置いたヤツは、明らかに“つくった”の言葉が違うだろ
感嘆の声やブーイング、絶叫の声が響き渡る
「誰だよ、こんな恐ろしいこと考えた奴」
アリオスのつぶやきに、レイチェルが引きつった笑顔を浮かべる
ここにいる人数分-1種類の料理が並んだ
「すっげー光景」
統一性の無い雑多な料理
美味そうだなってやつから、絶対手をつけたくないものまで
いろんな意味でバラエティにとんでやがる
「それじゃあ、まずは主役に最初の一口を」
レイチェルの宣言と共に、アンジェリークがフォークを差し出す
謀った用に差し出されるのは、問題が在りそうなヤツばかり
「食えるかよっ」
アリオスの言葉に、ひときわ賑やかな声が上がった

プレゼントととして、各自手料理を1品持ち寄ること!
一方的な通達が駆け抜けたのは、パーティーの案内があって少しした頃、およそ一ヶ月前の事
持ち込まなかった者には参加資格無し
なんて、ホンノ冗談
ただの余興のつもり
なのに、結果は、なんだかんだで、全員が手料理持参
―――一部料理とは言い難いのも混じってるケド
驚くべき結果にワタシ達は顔を見合わせて笑い合う
パーティーは成功
ミンナ楽しそうで良かったんじゃナイ?

弾けるような、笑い声が響く
意外なヤツがまともな料理を作っていたり
作れそうなヤツが破壊的な食い物だったり
持ち込まれた怪しい料理を批評して、楽しそうな笑顔が見える
普通、見ることのない一面
こんなどうしようも無いことで生まれる新しい関係
「楽しいね」
そっと掛けられた声に、心からの同意を返す

飲んで食べて、騒いで―――
賑やかな時間
楽しい時間
パーティの終わりを告げる言葉は、次への期待

ねぇ、次は何をする?
 

戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送