「おめでとうアリオス!」
この日出会うたびに掛けられる言葉にアリオスは簡単に礼の言葉を述べながら廊下を歩いていた
そして、手の中に物が増えていく
その量が両手に余る程になった時、アリオスはその場からいきなり消えた
取り残された相手はため息を一つ
そろそろ慣れさせられた現象に何事もなかったかの様に歩き出した
突然現れたアリオスの手からソファーの上へと贈り物の数々が落とされる
「一杯貰ったミタイだね」
レイチェルの言葉に、一瞬だけ視線を向けて不機嫌そうに腰を下ろす
私とレイチェルは視線を交わして、くすくすと笑い出す
不機嫌そうなのは上辺だけ
本気で嫌がっていないことは、貰ったプレゼントの扱いでわかる
迷惑だ嫌だって思ったのなら、ここまでちゃんと持ってきたりなんかしない
投げ出したように見えても、乱暴にならない程度にソファーの上に置いてある
執務室の扉がノックされる
「アリオスにお客さんね」
私の言葉にレイチェルが扉を開けに行って、アリオスは反論の言葉をいう
けど
「アリオスっ」
開いた扉から、勢い良くメルさんが飛び込んで来た
「誕生日おめでとう」
アリオスの頭上からメルがいくつもの小さな包みを落とす
「お前、な………」
アリオスの声にメルさんが逃げ出していく
その様子に私たちは耐えられなくなって爆笑した
夜に開かれたパーティに参加する資格は
パーティ開始前に、何かプレゼントを渡すこと
もはや主役がわからなくなったパーティ会場はさまざまな人で埋め尽くされている
「楽しそうね」
アンジェの言葉にアリオスが肩をすくめた
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